- 増井 真也
- 建築部門代表
- 建築家
対象:住宅設計・構造
ショッピングモール化する住宅の社会、そうした状況を造っているもうひとつの理由に今のクレーム社会が挙げられるだろう。
昔、住宅はクライアントから町の大工さんに直接依頼するという形で作られた。クライアントは畳という生活から生み出されるモジュールを理解し、○○畳の部屋を自らの持つ敷地の形状に合わせて適当に組み合わせることでプランを考えることが出来た。
そのプランをもとに相談された大工さんも、徒弟制度社会の中で身につけた知識と経験をもとに簡単な図面だけでそれを立体化することが出来、材料を発注し、作り上げることができる。その地域に建ち並ぶ家々の姿というのは、生活の中で当たり前のものとして人々の感覚の中に入り込み、きしみ、隙間風、扉のたてつけなど様々な経年変化の中で現れる現象も生活の中で自然に受け入れることが出来たのである。そのような建築の捕らえ方、物の捕らえ方を今の人はしない。いや、出来なくなっているといったほうがよいかもしれない。