- 野平 史彦
- 株式会社野平都市建築研究所 代表取締役
- 千葉県
- 建築家
対象:住宅設計・構造
これはうちの奥さんから聞いた話しだが、小中学時代に息子の同級生だった子のお母さんとたまたま街で会った時の立ち話。
うちの息子とは別の高校に入ったその子は、入学してすぐに同級生の彼女ができて、まだ3ヶ月位しか経たないのに、今では週末にはその息子さんの部屋に彼女が泊まってゆくのだと言う。
そして、親もそのことに対して息子に何も言わないのだそうだ。
「何か言ってキレられても困るし、、」
と言って、その母親は笑った、という話しである。
僕が子育てをしていた若い頃、他の同世代の親を見て、子供を叱らない親が多いことに驚いた事がある。
子供がぐずったり、何かが欲しいと言うとすぐに物を買い与える。
何か悪い事をしたり、他人に迷惑を掛ける様なことをしても叱らない。
見兼ねて他人がその子を叱ると、逆に親がその人に食って掛かる。
子供は我慢したり反省したりするということを学ぶ機会を与えられずに育ってしまう。
「叱る」というのはエネルギーのいることである。
子供の機嫌を取って子供に取り入る方が,親としてもずっと楽な事なのだ。
そうやって子供が育ってきた。
だから、高校一年生の息子が同級生の女の子を自分の部屋に泊めても、
親はやはり何も言わない。否、もう何も言えないのだろう。
そして、それは女の子の親もそうなのだろう。
その子の家もやはり玄関に階段のある家だという。
家の人と顔を合わせずに人を自分の部屋に招き入れる事ができる理想的なプランニング?
考えてみれば、確かにそりゃラブホテルと一緒かもしれない。
しかし、僕も決してしつけの厳しい親だった訳ではない。
自分より上の世代の人達にとっては、
そんなことを言っている僕自身さえも同じ様に甘い親に見えているに違いない。
今さら子供のしつけはこうあるべきだった、とか、親としてはこうあるべきだった、
と過ぎた事を蒸し返しても始まらない。
言える事は、明らかにこうした世代の子供たちが大きくなって、家庭を持ち、
家を建てようという時期が来る、ということである。
(次回、「聖域と化した子供部屋」に続く)