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広瀬つみき
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閲覧数順 2017年10月21日更新

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「日本の子供を褒める」ことの落とし穴

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科学に基づいた心理学から

子供を褒めるのはどんな時ですか?

親も教師も含めて社会全体の人たち。

ちょっと一息ついて考えてみてください。


え? 褒めない?

褒めますよね、もちろん。

いわゆる「テストで高い点を取った時ですか?」


他には?

えぇっとぉ。


考えながら読んでみてください。

「褒める」ことは教育には必須の道具です。

その道具をいかに効果的に使うかを科学的な研究を参考に模索して来ました。

が。


「日本の子供を褒めること」には落とし穴があることを発見してしまいました。



最新のPsychology でリサーチされていることの一つに Mind-Set ということがあります。

「そうだと信じこんでいる」という意味です。


このMind-Set が曲者なんです。

日本の子供はかなりネガティブな Mind-Set に支配されていると感じています。

Big John LINE stamp

Mind-Setは子供たちの能力の発達には非常に重要な 役割を果たします。

子供の発達を助けるか阻害するかの決め手にもなってしまいます。


特に、子供の能力を伸ばすために「褒める」ことを有効に使いたい場合には、絶大な味方にもなれば、怖い落とし穴にもなってしまうのが Mind-Set です。


相対する2つの Mind-Set があります

[Growth Mind-Set] [Fixed Mind-Set]です。


[Growth Mind-Set] とは、「能力とは少しづつ伸びていくもので、様々な経験・挑戦を繰り返すことで深く確実なものになると信じる」考えかたです。


[Growth Mind-Set] を持つ子供達は、まず「周りに賢いと思わせたい。」なんて安っぽいことは考えません。

自分はずっと伸びていくと信じているからです。

今は能力が足りなくても一つづつプロセスを経て問題解決していくことで、自分はずっと上に伸びることが出来ると信じているからです。


進んで挑戦し、途中で投げ出さず、うまくいかなくても落ち込まずやり直します。

それらが前に進む大切なプロセスだと信じているからです。


[Fixed Mind-Set] とは、「能力は固定化しているもので変わることがない。 優れた能力を持っているのはただ単に自分が優れているから。」と信じ込んでいることです。


経験・挑戦を繰り返すことで能力がもっと伸びるとは思っていません。

自分はもともと能力を持っているので、別に挑戦などしなくても、経験など積まなくても構わないと信じています。


難しい挑戦からは目をそらします。

挑戦してうまくいかなくて、自信を失うことには接したくないという後ろ向きの意識が働きます。


ひとつひとつ学んで行くことが高い能力へのプロセスだとは考えてもいません。


困ったことに、「もっと出来るはずなのに出来ない。。。」という経験に遭遇するや否や、「自分は優れているはずなのに」という焦りと「周りにばれたらどうしよう」という心理的な穴に落ちてしまいます。



日本には [Fixed Mind-Set] を持った子供が非常に多いと思います。

日本の学校・家庭・社会で一番評価され褒められるのは「良い成績」と「良い学校」です。


丸暗記で取れる成績を「自分の能力」と勘違いしている子供たちは、そのぬるま湯のような環境から出ようとしません。

その中にいさえすれば「自分は能力がある」と思えるからです。


暗記勉強の中から出てしまう挑戦や経験なんて飛んでもない。

おじけづいて出来ません。

自分の能力が新しい挑戦では通用しないことを知っているからです。

おとなしく塾に浸かった生活の中から出てきません。


また、丸暗記教育の中で成績の取れない子供は、自分は能力など縁遠いと諦め、同じく挑戦・経験を止めてしまいます。

この国に必須の能力が死滅していくわけです。



[Fixed Mind-Set] 状態の子供たちの考え方を、なんとか [Growth Mind-Set] に変えることは出来ないかと試して来たのが「褒める」ことです。


暗記勉強の能力しか計られたことのない(もしかしたらそれしか褒められたことのない)子供たちが本来持っている能力を見つけています。

創造力と想像力の必要な英語思考法の指導の中で、多くの光る能力をみつけています。

その能力を褒めちぎります。

それをどう伸ばしたらいいのかのプロセスも丁寧に準備し、サポートしていきます。


ところが、ところが。

[Fixed Mind-Set]に支配されるこの日本社会の中で、その考えを振り払える子供は実に少数の気がしてきました。


新しく見つけた「能力」に自信を持つまでは計算通りですが、その「能力」をまた固定化し始めます。

その「能力」を使う挑戦に尻込みしたり、試しては見たものの一度うまくいかないだけで防御モードに入ってしまいます。

うまくいかないことも、ひとつひとつのプロセスなんだと考えられないようです。


防御モードに入った子供の行動は実にわかりやすいです。

「塾」に戻る。

「ばれないよう取り繕う」

心が痛くなります。

Big John LINE stamp


心理学の研究によれば、[Fixed Mind-Set] は周りの親、教師、友達からの影響が非常に大きいそうです。

「褒める」ことが道具として使えない国での教育に限界を感じます。



最後に前向きなエピソードをひとつ。

うまく[Growth Mind-Set] に引っ張り上げることが出来た子供たちは目を見張る勢いで伸びて行きます。

違う人間になったのではと思えるほどです。


例:8つの大きな能力のひとつと考えられている Interpersonal Skill (人間関係を理解出来る大きな知的能力)があると発見した生徒。


自信を持ったのは当然ですが、それに慢心することなく大きな挑戦を始めました。

Coursera から英語圏の大学での講義を受講し始めました。

Public Relations (会社と社会とのつなぐ重要な仕事の分野)のコースを英語で。


英語圏の大学レベルですので、難しいコースですが、自分の能力が伸びていると実感しながら挑戦を続けています。

5年後、10年後にどれほど能力が伸びているのか非常に楽しみです。


Growth Mind-Set!!

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