保険加入方法のバリエーション - 保険設計・保険見直し全般 - 専門家プロファイル

田中 香津奈
かづなFP社労士事務所/株式会社フェリーチェプラン 代表取締役
東京都
CFP・社会保険労務士

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対象:保険設計・保険見直し

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保険加入方法のバリエーション

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かづな先生の新保険ゼミ 06.保険加入のポイント

戦後、訪問型の代表である生保レディから保険加入するのが一般的でしたが、平成17(2005)年に個人情報保護法が施行されたことにより、企業のセキュリティ強化で職場への出入りが制限され、減少傾向にあります。その代わりに拡大しているのが、平成12(2000)年に誕生した保険ショップ、平成19(2007)年に全面解禁となった銀行窓販など、来店型です。これらは、対面で加入するというのが前提でしたが、平成20年(2008)年に相次いでインターネット販売専業会社であるネット生保が設立されたことにより、ネットにて非対面で加入の手続きが完結することも可能となりました。このように、保険加入方法のバリエーションが増えています。代表的な保険加入方法の特徴を確認しておきましょう。

生保レディ・ライフプランナーなど一社専属の保険販売員

戦後、昭和の時代から主流になっている加入方法で、生保レディとは、主に職域で活動する漢字生保の営業職員のことで、ライフプランナーとは、主に紹介によって活動するコンサルティング営業をする保険販売員のことを指します。両者とも自社の保険商品のみを取り扱う一社専属で、相談時などに希望する場所に来てくれる訪問型が多いです。メリットは、給付など支払事由が発生したときに、一社のみの書類で請求ができること、デメリットは、加入時に複数の生命保険商品を比較する機会を得ることができないことです。比較した結果、すべて同じ保険会社の保険商品に加入するのは良いですが、特に比較をせずに加入することは最適な保険選びになる機会を逃している可能性があります。

通信販売

テレビ・新聞・雑誌などのメディア、インターネットを通じた保険販売のことを通信販売といいます。従来、通信販売とは、メディアやインターネットで資料請求をして、郵送など非対面にて保険の申し込み・告知を行うもので方法が一般的でしたが、本人確認書類の返送などを除き、インターネットのみで申し込み手続きが完結するネット生保も登場しました。メリットは、対面での相談が苦手な方が自分のペースで保険選びができること、デメリットは、対面型の商品と比べて、すべての保険商品が合理的とは限らず、ある程度の保険知識を備えなければいけないことです。また、加入後の給付などの手続きは、各社異なりますが、インターネットのみで手続きは完結しません。保険金・給付金の請求手続きについては、一部例外を除き、全社でコールセンターのオペレーターの電話による有人対応(コンサルティング対応)が行われています。

保険ショップ・乗合代理店の保険販売員

保険ショップとは、21世紀になって急速に普及した加入方法で、自ら保険ショップに出向いて、希望する保険や保障内容を提案してもらう、来訪型のことを指します。保険ショップは、乗合代理店の保険販売員が常駐していることが一般的で、複数の生命保険商品を取り扱っています。保険ショップ以外の乗合代理店の保険販売員は、相談時などに希望する場所に来てくれる訪問型が多いです。メリットは、いずれの場合も加入時に複数の生命保険商品を比較する機会を得ることができること、保険ショップの場合は、街中やショッピングセンターなどアクセスの良い場所にあることが多いため、仕事帰りや買い物ついでに気軽に相談することができることです。デメリットは、複数の保険会社のプランを提示されて選択することで、自分の意思で選んだつもりになってしまいがちですが、実は保険販売員が販売手数料を稼ぐプランになっていることもあることです。適切な保険選びになっているか迷ったときは、複数の乗合代理店を回ったり、本当に中立的な立場のFPに有料で相談したりする必要があります。

銀行窓販

銀行窓販とは、銀行が保険代理店となっていて、銀行の窓口や行員を通じた加入方法です。平成10(1998)年12月から投資信託、平成13(2001)年4月から住宅関連信用生命保険、平成14(2002)年10月から個人年金・変額個人年金など、平成17(2005)年12月から一時払終身保険・養老保険など、平成19(2007)年12月から死亡保険・医療保険など全面解禁に。メリットとしては、駅前などアクセスのよい場所にあることが多く、資産運用の相談と共に気軽に相談できることです。デメリットは、複数保険会社から選択して加入することが可能ですが、銀行と同系列の保険会社の商品を主に取り扱っているケースが多く、商品ラインアップに偏りがあることです。また、資産形成としての保険相談を中心に行っているため、掛け捨ての保険商品の申し込み・告知、加入後の給付手続きなどの知識・経験が不十分なケースがある、などです。



このように保険加入する方法は多様化していますが、平成26(2014)年度の生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」調べによると、68.2%の人が一社専属の営業職員から生命保険に加入し、66.4%の人が加入時に商品比較を行っていない、という戦後から続く従来の加入方法から進化していないというのが現状です。選択して加入する環境が整いましたので、上手に活用していくようにしましょう。



ここがポイント!

最適な保険選びには、複数の生命保険商品を比較することが必要です。21世紀に入り、来店型の保険ショップ、銀行窓販、ネット生保設立により、一社専属から複数保険会社、訪問型から来店型やネットから、など選択して加入する環境が整いましたので、上手に活用するのが賢い保険加入方法です。しかし、生命保険は形のない商品で、情報が十分に開示されていない中で、保険加入・保険見直しを自分ひとりで選択して、契約していくのはまだ不安要素が残ります。公正中立な立場でアドバイスしてくれる“保険相談者選び”が重要になってきました。
 
(2015.8.17公開)

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