
- 石川 智
- オフィス石川 代表
- 高知県
- ファイナンシャル・プランナー
対象:家計・ライフプラン
- 吉野 充巨
- (ファイナンシャルプランナー)
- 吉野 充巨
- (ファイナンシャルプランナー)
こんにちは、石川です。
先日も書いたのですが、私は数年前から、障がいやご病気などで「金銭管理能力」が弱くなってきた人向けの福祉サービスの支援員をしてきました。
これは「日常生活自立支援事業」というサービスで、社会福祉協議会が、そういう不安を抱えている方の通帳とハンコなどをお預かりして、定期的に、約束した金額を届けるということを行っています。
ただ、これは単なる「お金を届ける」ことだけを目的とはしておらず、届けた際の「見守り」を重要視しています。
「家計管理」が難しくなるということは、いわばその人の生活環境が不安定になりつつあるということを意味している事が多く、実際に、精神障がいや知的障がいのある人や、ご高齢になり見守る家族がいない人がサービスの対象になることがよくあるんです。
例えば、私が週に一回お金を渡す際に面談するので、何かトラブルに巻き込まれていたり、不安定な精神状態になっていたり、生活環境や人間関係に変化が生まれていたりすると、それをキャッチできます。
つまり、状態が悪くなりそりそうな「小さなサイン」に気付く事ができる可能性があるのです。
むしろこれこそ、この日常生活自立支援事業の肝であると思います。
そういう支援とは別に、本当に「今日生きるお金や食料がない」状態で、助けを求めて社協の窓口にこられる「生活に困窮している人」を支援することもあります。
そういう方のご自宅に訪問してみると、おそらく、数年間~十年以上の間、ず~と荒れ果てた生活環境であったことを容易に想像できる方もいらっしゃいます。
その方が現在70歳であったとしても、お子さんが生まれた40年前は、もちろん、そうした生活環境ではなかったんだろうな、と思います。
様々な転機がありながらも、それを無事に乗り越えられない人もいれば、何とか家族や地域が支えてくれて、そのピンチを回避できた人もいることでしょう。
商売が上手くいかなくて、ますます空回りして自己破産して更に困窮する人もいれば、自己破産してしまっても誰かの力で支えられてきた人もいます。
私が目にするケースは「長い間、上手くいかなかった」ということが多いのですが、他方、困窮のスパイラルに陥らずに、見事に生き抜いている人もいるわけです。
そんな時、ふと思うことがあります。
なぜ、あの人は生活困窮から脱することができず、なぜ、この人は生活困窮から抜け出せたんだろう、と。
「人は一人では生きられない」
何かの本に書いてあった気もしますし、授業で聞いた気もします。
今まで、私はこの言葉の意味を本当に知っていたのだろうか?
そして、生活困窮者の支援をしていく場合、この言葉の意味はどこにあるんだろう?
そんなことを最近はよく考えます。
地域の中で生きることや、家族の中で生きること、つまり、「生きるのに不安を抱えている人」を一人にしない、ほったらかしにしない、ということが、その人が生活困窮にならない「大事な要素」であるならば、これから生活困窮者の支援に関わる方は、全力でこのことばの意味を考えなければなりません。
そういう覚悟を持った行政や支援者にしか、生活困窮者の支援はできないだろうし、曖昧な答えをよしとする支援ならば、一度は困窮から抜け出せても、またその人を元に引き戻してしまう可能性をはらんでいるのではないでしょうか?
私も覚悟して、この生活困窮者の支援に関わっていきたいと思います。
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