- 野平 史彦
- 株式会社野平都市建築研究所 代表取締役
- 千葉県
- 建築家
対象:住宅設計・構造
近年、構造用集成材が一般的に用いられるようになったが、自然素材ブームの一貫か無垢の国産材を求める声が多くなった。
しかし、私は下手な無垢材を使うなら集成材の方がまだましだと思っている。
では、下手な無垢材とは何か? それは、「芯まできちんと乾燥されていない材」である。
巷にはこの下手な無垢材が溢れている。
きちんと乾燥するためには手間がかかる。
手間がかかる、ということはお金がかかるということである。
お金がかかってはただでさえ割高な国産材が、外材や集成材に適うわけがない。
杉材は特に乾燥が難しい材である。
だから、乾燥が不完全な材が市場に出回ることになる。
しかし、この「乾燥」は木材の命である。
きちんと乾燥されていない材は強度がなく、狂いやすい。
「無垢材だから狂うのは仕方がない」はナンセンスである。
乾燥材として流通しているKD材も、下手な無垢材でしかない。
しかし、首都圏で満足できる無垢材を供給しているところは少ない。
構造材は工務店任せにせず、設計者自ら本物の「乾燥材」を見つけておこう。