ライフプランを実現させるための手段の1つがお金です。そのお金を確保するためには、金融商品の活用が効果的です。金融商品には、預貯金、生命保険、投資信託、株、FXなど、さまざまな種類があります。預貯金や保険は運用リスクが金融機関や保険会社にあるのに対し、投資信託、株式、FXの運用リスクは自己責任となっています。
貯蓄:預貯金
健康だからこそ十分に働くことができ、それによってお金を稼ぐことができます。そして稼いだお金の一部を貯蓄することもできます。貯蓄は、原則元本割れしないので、安心して生活するためのベースの資金となります。資産の大半を預貯金に眠らせておけば、投資信託や株のように相場の影響を受けることもなく、FXのように為替リスクを負うこともありません。平成元年(1989)年前後のバブル期であれば、郵便局の定額貯金で約7%もの金利がついたため、預貯金だけでもお金を増やすことはできました。ところが、平成26(2014)年の預貯金の金利は、普通預金が0.02%、定期預金でも0.025%~0.05%の時代ですので、預貯金だけで思い通りにお金を増やすことは現実的には不可能です。そのため、不測の事態が生じて経済的リスクを負ってしまうと、預貯金の目減りは覚悟しなければなりません。また、預貯金は流動性が高く、手軽に引き出すことができるため、結果的に、お金は増えたり減ったりを繰り返すだけになりがちです。
保険:生命保険
病気やケガ、突然の死など、万一の場合でもライフプランを実現するための金融商品も確保することが重要です。その機能がある金融商品は、生命保険のみです。入院の際にやむなく個室に入ることになり、公的保険適用外の差額ベッド代を預貯金から取り崩して支払うことになったり、自身の死亡により、残された家族が路頭に迷うことがないように、“最悪に備える”資金となります。
投資:投資信託・株・FX
投資信託(ファンド)
投資家からお金を集め、それをまとめて運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する金融商品。運用成果に基づき、投資家それぞれの投資額に応じて分配金が分配される。リスク分散は可能だが、元本保証はない。
株
資金調達を目的に会社が発行する株を購入し(その会社に出資し)、配当金や売買による差額で利益を得ることができる。1つの銘柄に投資するので、大きく勝つこともあれば、大きく負けることもあり、元本保証はない。
FX
margin Foreign eXchange tradingの略で、外国の通貨の売買によって利益を得る取引。一般に、株式相場より予想の難しい為替相場はプロでも難しいとされ、FXは投資初心者には不向き。もちろん元本保証はない。
このように、金融商品のリスクは、あくまでも自己責任です。その意味で、お金を有効に増やして、より大きな豊かさを求めるためのもの、つまり余裕資金がある場合の“最高を願う”行為だと言えるでしょう。
ライフプランを実現させるための金融商品で、運用リスクが金融機関や保険会社にあるのは預貯金と保険です。経済的リスクに備えて、保険に加入するより、預貯金で備えたほうがトクするのでは?と思い込んでいる方も多いのですが、期日のわかるリスクには貯蓄、予測できないリスクには保険、を選ぶことで、万が一の時に備えることができるともいえます。
ここがポイント!
将来を通じてライフプランを実現させていくには、それを実現させるための資金と、万一が起きてもそれを実現するための資金と、その両方をバランスよく確保することが重要です。予測できないリスクに備えることができるのが、生命保険の特色です。生命保険を説明するときによく使われる言葉で“貯蓄は三角、保険は四角”がありますが、覚えておきましょう。
(2004.2.1公開 2014.12.11更新)
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