相続税には税を軽減する特例があります - 家計・ライフプラン全般 - 専門家プロファイル

吉野 充巨
オフィスマイエフ・ピー 代表
東京都
ファイナンシャルプランナー

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相続税には税を軽減する特例があります

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「増税だ、増税だ」と騒いでいる金融機関や販売者の話を聴く前に、新ファミリー・一族で、
下記の内容を点検ください。該当すれば相続税の対象額が低くなります。

前回は、新ファミリーの相続に関わる、課税対象の正味遺産額と基礎控除等を紹介しました。
実はその他にも、正味の遺産額が減額される制度が組み込まれています。
例えば、小規模宅地の特例があります。
今回の相続税改定は、増税の方向だけでなく、緩和の事項も盛り込まれています。

下記は国税庁HPからの引用です。
該当ページのURLは https://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4124.htm

個人が、相続又は遺贈により取得した財産のうち、その相続の開始の直前において被相続人等の事業の用に供されていた宅地等又は被相続人等の居住の用に供されていた宅地等のうち、一定の選択をしたもので限度面積までの部分(以下「小規模宅地等」といいます。)については、相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、一定の割合を減額します。この特例を小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例といいます。 
なお、相続開始前3年以内に贈与により取得した宅地等や相続時精算課税に係る贈与により取得した宅地等については、この特例の適用を受けることはできません。

140815小規模宅地の特例減額表

(注)
1 被相続人等とは、被相続人又は被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族をいいます(以下同じです。)。
2 宅地等とは、土地又は土地の上に存する権利で、一定の建物又は構築物の敷地の用に供されているものをいいます。ただし、棚卸資産及びこれに準ずる資産に該当しないものに限られます(以下同じです。)。

新ファミリー一族の一代目の90%は持ち家です。従って、今回はこの部分のみ説明いたします。
一代目の相続は、年齢差・平均寿命・平均余命の差から、その多くはご主人が先になくなり、残された妻は相続人として住宅を引き継ぐことに為ります。
HPに記載されているように、この居住用住宅の減額割合は、240㎡まで80%です。今回の改定では、面積が330㎡に拡充されています。約70坪であったものが約100坪に広がりました。
ただし、改正では相続人が被相続人と同居していることが条件になっています

【居住用宅地の適用要件の緩和・柔軟化】も行われます。
下記は財務省HPから平成25年度税制大綱からの抜粋です。
適用は平成26年1月1日からです
<二世帯住宅に居住していた場合の取扱い> 二世帯住宅については、内部で行き来ができるか否かにかかわらず、同居しているものとして、特例の適用ができるようにします。

<老人ホームに入所した場合の取扱い>
老人ホームに入所したことにより被相続人が居住しなくなった家屋の敷地については、以下の要件の下で、相続の開始の直前において被相続人が居住していたものとして、特例の適用ができるようにします。
(1)被相続人に介護が必要なため入所したものであること。
(2)居住しなくなった家屋が貸付けなどの用途に供されていないこと。

図にありますように日本人が所有する資産の多くが、不動産で通常は現在居住している住宅の価額になりますから、この「80%」の減額は極めて大きなものになります。

家計資産の不動産割合


例えば、遺産総額が1億5,000万円で、住宅の土地(300㎡)が8,000万円の評価(路線価)の場合、基礎控除前の課税される遺産額は 8,600万円に減少します。

これを、新ファミリー一族のモデルに当てはめれば、
基礎控除額は3,000万円+600万円×3人=4,800万円ですので、
課税対象の額は3,800万円です。法定相続分で分けると
1代目配偶者は1,900万円、2代目2人は夫々950万円です。

同時に、相続税には配偶者
下記は、国税庁HPの該当ページから引用しています。
No.4158 配偶者の税額の軽減 https://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4158.htm

配偶者の税額の軽減とは、被相続人の配偶者が遺産分割や遺贈により実際に取得した正味の遺産額が、次の金額のどちらか多い金額までは配偶者に相続税はかからないという制度です。
(注) この制度の対象となる財産には、仮装又は隠蔽されていた財産は含まれません。
(1) 1億6千万円
(2) 配偶者の法定相続分相当額
この配偶者の税額軽減は、配偶者が遺産分割などで実際に取得した財産を基に計算されることになっています。
したがって、相続税の申告期限までに分割されていない財産は税額軽減の対象になりません。
このように、相続税には様々な特例があり、実際に相続税を支払う件数は、現状では死亡した件数の4%程度で、改正後でも10%に収まる程度と推計しております。

なお、今回説明した制度は、一代目の何れかがお亡くなりになられた場合を例としています。

ご主人がお亡くなりになり、その後に相続は2次相続と称します。
この場合、「配偶者の税の軽減」は使えませんが、もし、お母様(高齢単身者の多くは女性)と、まだ、住宅を手に入れていない、二代目が居られたら、同居をお考えください。その場合には、小規模宅地の特例が使えます。

また、新ファミリー・一族の2代目世代は、単身者も大勢いらっしゃいます。その場合にも、お母様との同居を検討ください。今回の改正で、介護のために老人ホームに入られる場合は適用が可能です。
相続時まで被相続人本人名義で、その後に承継すれば良いことに為ります。

このように、増税だという声に踊らされず、一度新ファミリー・一族の全体像を把握して、
将来を考えるのは、一代目の役割かと考えます。

140810新ファミリー一族の属性

国のホームページには、詳しく税の事が掲載されています。
現行の相続税で、相続が発生した際には、国税庁下記ページで
https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/koho/kurashi/html/05_4.htm

27年以降の相続には財務省の資産課税の改正下記ページです。
http://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeisei13/02.htm

をお読みください。
まずは、販売者の資料でなく、発生源でご確認ください。

新ファミリー・一族は私の造語で、昭和20年生まれを初代とする一家(ファミリー)を指します。その属性は、下記の図に示す通りで、略準富裕層以上の世帯相当になります。


文責
FP学会会員
独立系顧問料制ファイナンシャル・アドバイザー
オフィス マイ エフ・ピー 代表 吉野 充巨

【保有資格】
ファイナンシャル・プランナー:日本FP協会認定CFP®
日本証券アナリスト協会認定 プライマリー プライベート・バンカー
宅地建物取引主任者 (東京)第188140号
ロングステイ財団登録ロングステイアドバイザー&登録講師
ホームページアドレス
http://www.officemyfp.com/

独立系顧問料制アドバイザーとは
http://profile.allabout.co.jp/w/c-64005/
http://mbp-tokyo.com/officemyfp/column/12298/
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    相続のお悩みは本当に人それぞれ。親族同士で揉める「争族」、また遺言書が見つからない、相続発生後に知らない親族が出てきた…土地や建物の持ち主が分からない!などの問題もよく出てきます。それに加えて平成27年1月の相続税改正後、課税対象者は約5万人増えるとも言われています。 「我が家には関係ない」と思っていると、莫大な相続税が課税されてしまうかもしれません…! どういう人が相続税の課税対象になるのか、また改正内容を事前に知っておくことで自分の相続や、両親など親族の相続時に活かせる可能性が充分あります。相続税の発生、自分の相続のための生前贈与の準備や遺言書作成など、相続発生前~発生後まで幅広く専門家がサポートいたします。 ここでは、相続ってなに?税制改革で何が変わるの?という初歩的な疑問に専門家がお答えします!

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