Blog201405-2、租税法(その2) - 民事家事・生活トラブル全般 - 専門家プロファイル

村田 英幸
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Blog201405-2、租税法(その2)

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Blog201405-2、租税法


『租税判例百選(第5版)』有斐閣
上記書籍のうち、法人税法の部分(№55~65事件)を読みました。

 申告所得更正決定取消請求事件、資産の無償譲渡、租税百選56事件参考判例、相互タクシー事件
 昭和41年6月24日  最高裁第2小法廷 判決
 破棄差戻し、 民集 第20巻5号1146頁
【判示事項】
 法律上他社の株式取得の制限を受けている会社が所有株式についての増資新株を自社重役等に無償で取得させた場合における課税所得の算定
【裁判要旨】
 「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」(昭和24年法律第214号による改正前)第10条により他社の株式取得の制限を受けている事業会社が、その所有に係る他社の株式についての増資新株を自ら取得できないため、自社の重役等個人に無償で取得させた場合において、同社になんら利得をもたらさないことを理由として、右行為に基づき同社に法人所得の益金を生ずる余地がないとすることはできない。
すなわち、資産の無償譲渡により、適正時価相当額の益金が生じたものと判示している。
【参照法条】
 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和24年法律214号による改正前)10条,旧法人税法(昭和22年法律28号)9条(現行法人税法22条2項)


法人税更正処分等取消請求事件、法人税法22条2項の「取引」(資産の無償譲渡)の意義、租税百選58事件、オウブンシャホールディングス事件
 平成18年1月24日 最高裁第3小法廷  判決
 破棄差戻し 、 裁判集民事 第219号285頁
【判示事項】
 親会社が子会社に新株の有利発行をさせて親会社の保有する子会社株式に表章された資産価値を上記発行を受けた関連会社に移転させたことが親会社の益金の額の計算において法人税法22条2項にいう取引に当たるとされた事例
【裁判要旨】
甲社の唯一の株主であるX社が,甲社にその発行済株式総数の15倍の新株を著しく有利な価額で関連会社乙社に割り当てる発行をさせ,X社の甲社に対する持株割合を16分の1に減少させ,乙社の甲社に対する持株割合を16分の15とすることにより,X社の保有する甲社株式に表章された資産価値の相当部分(甲社の増資前の資産価値と増資後の資産価値の16分の1との差額)を乙社に移転させた場合において,X社が上記新株発行により上記資産価値を対価を得ることなく乙社に移転させることを意図したこと,X社の筆頭株主である財団法人丙が乙社の唯一の株主であり,X社,甲社,乙社及び財団法人丙の各役員が意思を相通じて上記新株発行を行ったこと,乙社が上記意図を十分に了解した上で上記資産価値の移転を受けたことなど判示の事実関係の下では,上記資産価値の移転は,「資本等取引」ではなく、X社の益金の額の計算において法人税法22条2項にいう取引に当たる。
【参照法条】
 法人税法22条2項
【争点】
① 文化放送株式について、時価純資産価額方式で、平成7年当時の法人税法基本通達9-1-15が法人税等相当額を控除するかしないかの扱いについて明記されていなかった(平成12年改正で控除しないことが明記された)が、最高裁は、控除しないと判示している。
② 文化放送とその子会社が保有するフジテレビ株式について、財産評価基本通達188、188-2に従えば、原則として配当還元方式、例外的に課税上の弊害がある等の場合には時価純資産価額方式によることとされているが、例外的方法によるべき理由が原判決には脱漏している。したがって、原判決破棄差し戻し。
③ A社が保有している朝日放送株式の評価について、上記②と同様の論点。


法人税法違反被告事件、脱税工作資金の経費(損金)性、租税百選59事件
 平成6年9月16日 最高裁第3小法廷 決定
 棄却、 刑集 第48巻6号357頁
【判示事項】
 所得を秘匿するために要した費用を法人税の課税標準である所得の金額の計算上、損金の額に算入することの許否
【裁判要旨】
 架空の経費を計上して所得を秘匿することに協力した者に支払った手数料を法人税の課税標準である所得の金額の計算上損金の額に算入することは許されない。
【参照法条】
 法人税法22条1項,法人税法22条3項,法人税法22条4項,法人税法159条1項
【解説】
 平成18年改正により、法人税法55条により、立法的に解決された。
法人税法55条
(不正行為等に係る費用等の損金不算入)
第五十五条  内国法人が、その所得の金額若しくは欠損金額又は法人税の額の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装すること(以下この項及び次項において「隠ぺい仮装行為」という。)によりその法人税の負担を減少させ、又は減少させようとする場合には、当該隠ぺい仮装行為に要する費用の額又は当該隠ぺい仮装行為により生ずる損失の額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
2  前項の規定は、内国法人が隠ぺい仮装行為によりその納付すべき法人税以外の租税の負担を減少させ、又は減少させようとする場合について準用する。
3  内国法人が納付する次に掲げるものの額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
一  国税に係る延滞税、過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税及び重加算税並びに印紙税法 (昭和四十二年法律第二十三号)の規定による過怠税
二  地方税法 の規定による延滞金(同法第六十五条 (法人の道府県民税に係る納期限の延長の場合の延滞金)、第七十二条の四十五の二(法人の事業税に係る納期限の延長の場合の延滞金)又は第三百二十七条(法人の市町村民税に係る納期限の延長の場合の延滞金)の規定により徴収されるものを除く。)、過少申告加算金、不申告加算金及び重加算金
4  内国法人が納付する次に掲げるものの額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
一  罰金及び科料(通告処分による罰金又は科料に相当するもの及び外国又はその地方公共団体が課する罰金又は科料に相当するものを含む。)並びに過料
二  国民生活安定緊急措置法 (昭和四十八年法律第百二十一号)の規定による課徴金及び延滞金
三  私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の規定による課徴金及び延滞金(外国若しくはその地方公共団体又は国際機関が納付を命ずるこれらに類するものを含む。)
四  金融商品取引法第六章の二 (課徴金)の規定による課徴金及び延滞金
五  公認会計士法 の規定による課徴金及び延滞金
5  内国法人が供与をする刑法 第百九十八条 (贈賄)に規定する賄賂又は不正競争防止法 第十八条第一項 (外国公務員等に対する不正の利益の供与等の禁止)に規定する金銭その他の利益に当たるべき金銭の額及び金銭以外の資産の価額並びに経済的な利益の額の合計額に相当する費用又は損失の額(その供与に要する費用の額又はその供与により生ずる損失の額を含む。)は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。



 法人税法違反被告事件、法人税法22条3項1号の「収益に係る売上原価」と費用収益対応原則、租税百選60事件
平成16年10月29日 最高裁第2小法廷  判決
 破棄差戻し 、 刑集 第58巻7号697頁
【判示事項】
 被告会社が土地を造成し宅地として販売するに当たり地方公共団体から都市計画法上の同意権を背景として開発区域外の排水路の改修工事を行うよう指導された場合においてその費用の見積金額を法人税法22条3項1号にいう「当該事業年度の収益に係る売上原価」の額として損金の額に算入することができるとされた事例
【裁判要旨】
 被告会社が,A市内の土地を造成し宅地として販売するに当たり,A市から都市計画法上の同意権を背景として開発区域外の排水路の改修工事を行うよう指導された場合において,事実上その費用を支出せざるを得ない立場に置かれていたこと,同工事を請け負わせる建設会社に被告会社が支出すべき費用の額を見積もらせるなど,上記土地の販売に係る収益の額を益金の額に算入した事業年度の終了時点において既にその支出を見込んでいたことなど判示の事実関係の下では,上記の見積金額は,当該事業年度終了の日までに当該費用に係る債務が確定していないときであっても,法人税法22条3項1号にいう「当該事業年度の収益に係る売上原価」の額として当該事業年度の損金の額に算入することができる。
【参照法条】
 法人税法22条3項,法人税法(平成10年法律第24号による改正前のもの)159条,法人税法164条1項
【解説】
法人税法22条3項1号では「当該事業年度の収益に係る売上原価」とされ、費用収益対応原則が採用されている。
法人税法22条3項2号では、「債務の確定」という文言があり、債務確定基準が採用されている。これは、同条項号の対象である販売費等が個別の収益と対応させることが困難であり、販売費等については、費用の見積もり計上・引当金の設定が企業会計上許されないからである。
しかし、同条項1号では、同様の文言が使われていない。
したがって、同条項1号は、適正な期間損益原則を確保する立法趣旨である。



 法人税更正処分等取消請求事件、減価償却資産の判定単位、NTTドコモ事件、租税百選61事件
 平成20年9月16日 最高裁第3小法廷  判決
 棄却 、 民集 第62巻8号2089頁
【判示事項】
 PHS事業者が事業の用に供したエントランス回線利用権につき,1回線に係る権利が,それぞれ1つの減価償却資産であり,法人税法施行令(平成16年政令第101号による改正前のもの)133条所定の少額減価償却資産に当たるとされた事例
【裁判要旨】
 PHS(簡易型携帯電話)事業者が大量に保有し事業の用に供したエントランス回線利用権につき,それが1回線に係る権利1つを1単位として取引されており,1回線に係る権利1つでもって,上記事業においてその用途に応じた本来の機能を発揮し収益の獲得に寄与することができるなど判示の事実関係の下では,上記利用権は,1回線に係る権利をもって1つの減価償却資産とみるのが相当であり,それが10万円未満の価格で取得された以上,法人税法施行令(平成16年政令第101号による改正前のもの)133条所定の少額減価償却資産に当たる。
※エントランス回線:PHS事業者の設置する基地局と電気通信事業者Aの設置するPHS接続装置とを接続するAの有線伝送路設備
※エントランス回線利用権:PHS事業者が,エントランス回線を利用して,基地局のエリア内でPHS端末を用いて行われる通話等に関し,電気通信事業者AをしてPHS利用者に対しAのネットワークによる電気通信役務を提供させる権利
【参照法条】
 法人税法(平成13年法律第6号による改正前のもの)2条24号,法人税法2条23号,法人税法31条1項,法人税法施行令(平成16年政令第101号による改正前のもの)13条8号ソ,法人税法施行令(平成16年政令第101号による改正前のもの)133条
【解説】
 判決は、①取引の単位、②減価償却資産の機能の観点から、判断した。

改正後の法人税法施行令133条
(少額の減価償却資産の取得価額の損金算入)
第百三十三条  内国法人がその事業の用に供した減価償却資産(第四十八条第一項第六号及び第四十八条の二第一項第六号(減価償却資産の償却の方法)に掲げるものを除く。)で、前条第一号に規定する使用可能期間が一年未満であるもの又は取得価額(第五十四条第一項各号(減価償却資産の取得価額)の規定により計算した価額をいう。次条第一項において同じ。)が十万円未満であるものを有する場合において、その内国法人が当該資産の当該取得価額に相当する金額につきその事業の用に供した日の属する事業年度において損金経理をしたときは、その損金経理をした金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。



 法人税更正処分等取消請求事件、貸倒の意義、興銀事件、租税百選62事件
 平成16年12月24日 最高裁第2小法廷  判決
 破棄自判、 民集 第58巻9号2637頁
【判示事項】
 1 金銭債権の貸倒損失を法人税法22条3項3号にいう「当該事業年度の損失の額」として損金の額に算入するための要件及びその要件該当性の判断
2 経営の破たんした住宅金融専門会社の設立母体である銀行が放棄した同社に対する貸付債権相当額が法人税法22条3項3号にいう「当該事業年度の損失の額」として損金の額に算入されるべきであるとされた事例
【裁判要旨】
 1 法人の各事業年度の所得の金額の計算において,金銭債権の貸倒損失を法人税法22条3項3号にいう「当該事業年度の損失の額」として当該事業年度の損金の額に算入するためには,当該金銭債権の全額が回収不能であることが客観的に明らかでなければならず,そのことは,債務者の資産状況,支払能力等の債務者側の事情のみならず,債権回収に必要な労力,債権額と取立費用との比較衡量,債権回収を強行することによって生ずる他の債権者とのあつれきなどによる経営的損失等といった債権者側の事情,経済的環境等も踏まえ,社会通念に従って総合的に判断されるべきである。
2 経営の破たんした住宅金融専門会社甲社の設立母体であるA銀行が閣議決定等で示された処理計画に沿って甲社に対する貸付債権を全額放棄した場合において,当時甲社の資産からの回収見込額が甲社の設立母体以外の金融機関の甲社に対する債権の合計額を下回っていたこと,甲銀行が,甲社の経営に深くかかわり,甲社の再建計画に責任を持って対応することを明確にしていた等の事情により,上記金融機関の一部から同金融機関が甲社に対して有する債権の元本損失部分についても責任を負うように求められていて,せいぜい甲銀行の上記債権を放棄する限度で損失を負担する旨を主張してそれ以上の責任を回避することしかできない情勢にあったことなど判示の事実関係の下では,上記債権相当額は,放棄の時点でその全額が回収不能であることが客観的に明らかになっており,法人税法22条3項3号にいう「当該事業年度の損失の額」として上記放棄の日の属する事業年度の損金の額に算入されるべきである。
【参照法条】
 法人税法22条3項3号
【解説】
 債権の貸倒れの意義には、以下の2つの場合がある。
1、 債権放棄等により、法律上も消滅する場合、
2、 債権は法律上存在するが、事実上、債権の行使および実現・回収が不可能であるため、経済的に無価値の場合
 本判決は、事実上の貸倒れの場合に該当する事例である。


租税処分取消並びに不当利得返還請求、同族会社の行為計算の否認、租税百選65事件
 昭和33年5月29日 最高裁第1小法廷  判決
 棄却、民集 第12巻8号1254頁
【判示事項】
旧法人税法(昭和15年法律第25号)第28条による同族会社の行為計算の否認が違法とされた事例
【裁判要旨】
 同族会社たる甲株式会社が、乙株式会社の全株式を買収した後乙会社を合併しついで増資した場合に、右買収代金が乙会社の払込済資本金額と積立金額の合計額を超えていても、それだけで、旧法人税法(昭和15年法律第25号)第28条によって、右超過金額を合併交付金と認定して課税することは違法である。
【参照法条】
 旧法人税法(昭和15年法律25号)28条
【解説】
 本件株式買収当時、株式の譲渡所得に課税されず、また、株式買取代金を合併交付金とみなす旧・臨時租税措置法1条の33(昭和19年法律第7号)が存在しなかった。租税法律主義により、株式買取代金を合併交付金とみなすことは違法である。
 したがって、同族会社の行為計算の否認(現行法人税法132条、132条の2)の問題でもない。
 本判決は、租税法律主義、課税庁が納税者の行為・計算を否認する場合には個別の根拠条文が必要であることの論拠として、引用されることが多い。



成松洋一『Q&A会社法・会計と法人税法の異同点』税務研究会、平成24年
著者は、税理士である。
会社法については、やや記述が薄い。
企業会計と法人税法の取扱いが異なる論点を中心に網羅的に取り上げられている。
本書は簡潔な記述なので、あらかじめ法人税法に関する知識が必要である。なお、その際に、法人税法と企業会計の違いに簡潔に触れている水野忠恒『租税法』が有益と思われる。
上記書籍のうち、以下の部分を読みました。
3 組織再編成
100%グループ会社
4 資本等取引
DES
合併に伴う損益
無対価会社分割
5 収益の計算等
6 費用・損失の計算等
7 有価証券の譲渡損益
8 収益・費用の帰属時期の特例
9 受取配当等
10 受贈益
11 棚卸資産の評価
12 減価償却資産の償却
13 繰延資産の償却
14 資産の評価損
15 役員給与等
16 寄附金
17 租税公課等
18 貸倒損失
19 圧縮記帳
20 引当金
21 繰越欠損金
22 完全支配関係法人間の取引
23 リース取引
25 申告・納付等