- 森岡 篤
- 有限会社パルティータ 代表
- 建築家
対象:住宅設計・構造
生物でない住宅に、比喩的に「寿命」と言いますが、これに相当する用語で、「耐用年数」があります。
耐用年数には色々な意味がありますが、ここで重要なのは、「物理的耐用年数」と''「機能的耐用年数」''です。
「物理的耐用年数」は、老朽化して家が傷み、使えなくなることを言います。
前号で述べた「老朽化で建て直す」状態です。
そして、ちゃんとメンテナンス(手入れ)をしていれば、そう簡単に物理的耐用年数に達することはない、と言うことを述べました。
ここで、大地震などの災害で壊れる場合は、耐用年数とは意味が違います。
新しい家でも耐震的な性能が不足していれば倒壊する恐れがあるし、古い家でも耐震補強で倒壊を防ぐことは可能です。
「老朽化のため建て替える」と言っていても、物理的耐用年数(老朽化の改修が不可能)ということではなく、修繕に大きな費用がかかり、それだけの修繕費を出すだけの価値が認められない、という意味であり、次に述べる「機能的耐用年数」をさす場合が多いのです。