- 塚本 有紀
- フランス料理・製菓教室「アトリエ・イグレック」 主宰
- 大阪府
- 料理講師
対象:料理・クッキング
- 黄 惠子
- (料理講師)
2月の製菓連続講座にて
今月は心ゆくまでチョコレートを味わう月間です(といいつつ、数えてみたら、チョコは今月で連続3回目!)。
まずは同じケーキを、2種類のチョコレートを使って作ります。
中にはアクセントにグリオットを入れましたが、ムースにはお酒やピュレを入れず、シンプルにチョコレート味を前に出しました。
一つはヴァローナの「タイノリ64%」ドミニカ共和国産
繊細で爽やかな酸味があり、軽くしゅっと食べやすい味。とてもおいしいチョコレートを発見した! という気分です。ヴァローナの見解は「柑橘系のフレッシュな酸味に続く、ローストアーモンドのような風味と焼きたてパンのような香ばしさが特徴」だそう。ロースト香はかすかに分かるような、分からないような・・。
もう一つは「ニアンボ68%」ガーナ産
ともにグラン・クリュ・テロワールシリーズのチョコレートです。
丸みのある苦さ、酸もきちんとあります。濃いチョコレートらしさはありますが、とてもおいしく食べやすいチョコレートです。
こちらもかなり「よいチョコ見つけた!」です。
ヴァローナ見解は「スパイスの香りとやわらかな苦みが特徴」。
どちらのチョコが好きかと問われれば、通常ならカカオの%が高くて苦みのあるニアンボといったところですが・・・
今回は64%のタイノリがなんとも素晴らしい味で、大好きになりました。そのままチョコとして食べたい味です。
ケーキを仕込んでひとまず冷凍庫に入れたあと、全員でゆっくりと食べ比べをしました。
どちらが好きかはもちろん別れます。
そしてムースケーキに仕立てて、食べてみると・・
今度は「どちらが好きか?」は逆転し、68%のニアンボ!
力強いチョコレートらしい味わいです。
64%タイノリは大半の人の意見が「物足りない、ちょっと頼りない」。
そこで試しにと、タイノリを5gだけ増やしてみると・・
繊細な酸味と、すっと消えてなくなる軽やかなチョコレート味のタイノリはやはりとてもすばらしく、驚かされることになりました。格上とさえ、感じます。
違うチョコレートは、違う味のムースになるのは当然といえば当然なのですが、どんな風にムースとして表に出てくるのかを実感しました。とても楽しい経験でした。
ブラウニー browney
アメリカのお菓子ですが、フランスでもよくお菓子屋さんやパン屋さんの片隅に売られています。
特段好きでもないと思っていたお菓子でしたが(ぶわぶわなので)、あるときパリで食べてみて、びっくり。
「生チョコ!?」
と思うような食感です。続けて別のお店でも食べてみましたが、やはり程度の差こそあれ、生チョコっぽいのです。
以来冬になると、思い出しては作ってみていました。今年ようやくお披露目です。
こちらは定番のグアナラ70%を使い、中にはピーカンナッツを入れています。
「この前、パリのブラウニーを思い出して、授業で作ったのだよ。ブラウニー」
フランス語の先生に話したら、
「ノン、なんで英語!」
え?
「ブルゥニィbrowney」
言われてみればたしかにそうです。
カーラ・ブルーニみたい。こちらの綴りはCarla Bruni
その起源については1800年代後半のシカゴのようですが、ウィキペディアでは日本語版と英語版とフランス語版はみんな少しずつ違う情報がのっています。
フランス版には「その仕込み生地を生でも食べる」と書かれています。
ええぇ、小麦粉を生で食べたらお腹が痛くならないのか?
ほんとにそんなことをするのかを聞いてみました。
「たぶん英語情報をそのままフランス語版に入れただけなんだと思うけど、たしかにアメリカではそうするって聞いたことがあるよ」
フランスでは?
「やる、やる。ブルゥニィじゃないけど、違うお菓子。何だったっけ・・」
それが何だったのかは、思い出せないそうです。ぜひ聞いてみたい。
続きはまた明日。