最高裁 昭和49年7月18日 第三者異議事件 - 民事家事・生活トラブル全般 - 専門家プロファイル

村田 英幸
村田法律事務所 弁護士
東京都
弁護士

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対象:民事家事・生活トラブル

加藤 俊夫
加藤 俊夫
(司法書士)

閲覧数順 2017年02月19日更新

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最高裁 昭和49年7月18日 第三者異議事件

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相続

最高裁 昭和49年7月18日 第三者異議事件

民集28巻5号743頁、判例タイムズ312号207頁

【判示事項】 動産の割賦払約款付売買契約において代金完済に至るまで所有権を留保した売主又は右売主から目的物を買い受けた者と第三者異議の訴え

【判決要旨】 代金完済に至るまで目的物の所有権を売主に留保し買主に対する所有権の移転は代金完済を停止条件とする旨の合意がされている動産の割賦払約款付売買契約において、代金完済に至るまでの間に買主の債権者が目的物に対し強制執行したときは、売主又は売主から目的物を買い受けた第三者は、目的物の所有権を主張し、第三者異議の訴えによって、右執行を排除することができる。

【参照条文】 民法555条 、旧民事訴訟法549条1項

 割賦販売契約においては、売主は、代金債権の支払を確保し、あるいは買主の代金不払その他の事由によって契約が解除されたときの損害金を担保するために代金完済に至るまで目的物の所有権を留保し、その間使用貸借により買主に目的物の使用を許すことが一般に行われる(なお割賦販売法の指定商品については、同法7条により売主に所有権が留保されたものと推定されている。)。

所有権留保の法律的性質については、それが停止条件付所有権留保であり、代金の完済によって条件が成就し、目的物の所有権が買主に移転するのであって、それまでは、所有権は売主に帰属し、買主は目的物の利用権と条件成就によって所有権を取得しうる期待権とを有するにすぎないと説明されてきた。

このような伝統的な理解(所有権的構成)からは、目的物が買主の占有下にあっても買主の債権者はこれに対して強制執行をすることができないのは当然であって、売主は契約の解除を要することなく、右執行に対し、所有権を主張して第三者異議の訴えによりその排除を求めることができる。

これに対し、担保的構成説、すなわち、所有権留保が売主の代金債権担保のためのものであることを直視し、売主が留保した権利を担保目的の範囲に限定しようとする説がある。すなわち、譲渡担保の場合と同じく、当事者の用いている法形式を離れ、残存代金を被担保債権とする担保権としての留保所有権が売主に残っており、所有権よりこの部分を差し引いた物権的地位が買主に帰属するとみるのであって、換言すれば、いったん所有権は買主に移転し、買主が再び売主のために譲渡担保権を設定したと同じ法律関係があるとするのである(幾代通「割賦販売」『契約法大系II』294頁、高木多喜男『新版担保物権法』612頁以下)。この立場からは、売主は第三者異議の訴えにより執行の全面的排除を求めることはできないとされる。

また、売買契約の解除は担保権実行の手段にすぎないとされ、解除の効果の発生により売主は担保の実行として買主に目的物の引渡を請求することができるが、清算するまでは(その時期をいつとみるかは問題である。)完全な所有権を取得することができないとされるのであるから、解除をすれば第三者異議の訴えにより強制執行の排除を求めることができるとはいえない。

なお、買主の債権者による差押が解除に先立ってされた場合についても、売主が解除をし、また清算をして第三者異議の訴えを提起することができるかは問題である。

 本件の原告(被上告人)は、売主から解除後に目的物の処分を受けた者からさらに譲渡を受けた者である。

売主が解除後に目的物を第三者に処分した場合には、これを清算のための処分とみて、第三者は完全な所有権を取得し、あとは対抗要件たる引渡の有無によって差押との優劣を決すべきものと解する余地がある。

売主が差押のされる前に解除をしたときは、目的物を処分して担保権の実行をする権利を有するとしてよいであろうから、第三者の善意・悪意を問う必要はあるまい。

したがって、担保権的構成をとる説に立っても、上告を棄却することが可能であったと思われる。

しかしながら、本判決は、その説示するところから明らかなように、所有権留保についての伝統的な見解に立脚して、被上告人の第三者異議を認容すべきとした。