最高裁昭和52年7月12日 損害金請求事件 - 民事家事・生活トラブル全般 - 専門家プロファイル

村田 英幸
村田法律事務所 弁護士
東京都
弁護士

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対象:民事家事・生活トラブル

加藤 俊夫
加藤 俊夫
(司法書士)

閲覧数順 2017年02月19日更新

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最高裁昭和52年7月12日 損害金請求事件

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相続

最高裁昭和52年7月12日 損害金請求事件

最高裁判所裁判集民事121号91頁、 金融法務事情841号36頁

【判示事項】 新規自動車の売主は登録による自動車の減価相当額の損害を割賦販売法6条により請求できるか

【判決要旨】 自動車の割賦販売契約が自動車登録後ではあるが、引渡前に買主の割賦代金支払い義務の不履行により解除されたときは、同法6条1号の規定を類推適用すべきではなく、同条3号の規定を適用すべきであり、登録による自動車の減価相当額の損害は、同号所定の「契約の締結及び履行のために通常要する費用の額」にはあたらない。

【参照条文】 割賦販売法6条、民法420条

 X社は、Yに新規自動車を売り渡す契約をして登録手続を済ませたが、買主のYが割賦代金の支払を怠ったので、まだ自動車を引き渡す以前に売買契約を解除し、あらかじめなされていた約定に基づき、登録により自動車の市場価値が低落したために売主が被った損害額を含めて、損害賠償の請求をした。そして、右の損害は売主の義務の履行に伴い当然生ずる通常の損害であり、売主が買主の犠牲において収得する過当な利益ではないから、割賦販売法6条3号にいう「契約の締結及び履行のために通常要する費用の額」の拡張解釈または同条1号の類推解釈により買主に請求できると主張した。

 本判決は、X社の請求をしりぞけた原審の判断を正当とする。

 本件自動車の売買には割賦販売法が適用されるが、同法には消費者保護のために多くの規定を設けているが、買主の契約違反による賠償額の予定ないし違約金に関する規定もその一つである。すなわち、割賦販売法6条は、賠償額の予定ないし違約金を制限し、売主は買主に対して、(1)商品が返還された場合には、通常の使用料の額、ただし、割賦販売価格相当額から返還時の価額を控除した額が通常の使用料の額を超えるときはその額、(2)商品が返還されない場合には、割賦販売価格相当額、(3)商品が買主に引き渡される前に解除した場合には、契約の締結および履行のために通常要する費用の額のそれぞれに、法定利率による遅延損害金を加算した額を超える金額の支払を請求できないと定める。

 本件は、前記(3)によって損害賠償の請求をすべき場合に該当するが、福岡地裁昭和44年10月2日判決判例時報601号86頁は、同様の事案につき、「同条の趣旨は本件の新規自動車売買の如く、登録または届出が売主の義務の履行の不可欠の一部であり、かつ、これが履行された後買主の義務不履行による契約解除の結果、現実に売主において右履行に伴い通常生ずべき価格低落による減価額相当の損害を被っている様な場合にまで、その賠償請求の権利を売主から奪う趣旨とは解し難く」と判示しており、X社は、これを引用して、登録減価を負担するのは当然であると強く主張した。

これに対して、原審は、割賦販売法6条を、一般消費者保護のため民法の一般原則の適用を排斥し、もっぱら同条の規定によらしむべく、各号所定の金額を超える部分についての請求を無効とする趣旨のものと解するが、学説も同旨の見解をとるものがある(打田=稲村『割賦販売法』104頁)。