厚労省の「ブラック企業調査」 - リスクマネジメント・BCP - 専門家プロファイル

西野 泰広
REPsコンサルティング レップスコンサルティング 代表
埼玉県
経営コンサルタント

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寺崎 芳紀
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閲覧数順 2024年04月26日更新

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厚労省の「ブラック企業調査」

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風評/風説の流布管理 ブラック企業

「ブラック企業」の烙印を回避するには。

 厚生労働省は社会問題化している「ブラック企業」の実態調査を初めて実施(13年9月)し、その内容
を12月17日に公表しました。

調査対象となった事業所5111のうち82%にあたる4189の事業所で労働基準関係法令の違反があった
ことが報告されています。

厚労省は違反があった4189の事業所に対し是正勧告を行い、是正が見られない企業に対しては企業名
を公表し書類送検する方針であることを述べました。

積極的に是正行動を起こさなければ企業名が公表されることになりますが、その前に、なぜ厚労省から
「ブラック企業」と疑われ実態調査を受けることになったかを事業者は考える必要があります。

 

厚労省がブラック企業と疑う根拠は下記の内容だと言われています。

  (A) 3年以内の離職率が企業別の平均離職率より高い企業
  (B) 労働基準監督署やハローワークに複数の苦情や相談が入っている企業

この(A)(B)両方に該当した企業をピックUPして実態調査を行ったのです。その結果82%と高い確率で
何だかの労働基準に関する法令に違反していたことがわかりました。このことから今後も上記の(A)(B)
を基準として実態調査が行なわれるはずです。

しかしながら、離職率が高いからブラック企業であるとは言えません。決め手は(B)のはずです。
     ※ B = 従業員からの苦情/不満です。

 (B) AND (A)ですが、Bがなければブラック企業ではないことになります。
     ※ Aが低くてもBが多ければブラック企業であるとも言えます。

 よって、企業名の公表を回避するには「B」をいかにして減らすかが最大のポイントになります。

 

下記は厚労省がブラック企業と思われる企業の“労働実態”を調査し公表した内容です。

【労働基準関係法令の違反内容】
 [a] 違法な長時間労働(時間外労働) 43.8%(2241社)
 [b] 賃金の不払い 23.9%(1221社)
      ※実体のない管理職扱いや強制的や残業時間制限などを行い、時間外の割り増し賃金を支払っていない。
 [c] 給与や休日などの労働条件が明示されていない 19.4%(990社)

上記の違反内容から従業員の苦情/不満は[a][b]であることが容易に想像できます。これに下記の[d]
を加えたものが労働基準監督署やハローワークに寄せられている内容のはずです。

 [d] パワハラ(名誉毀損、侮辱、脅迫、強要、暴行、傷害、安全配慮義務などのパワハラ)

この[a][b][d]の従業員不満を解消することが「ブラック企業」と呼ばれないための回避策です。

 

一旦「ブラック企業の烙印」を押されれば、社会からのレピュテーション(信用・信頼)は著しく低下し
“有能な人材の確保や定着”が困難となり、ひいては事業持続が出来なくなる事態に陥ることになります。

このような事態にならないためには、ES(従業員満足)の向上を行わなければなりませんが、とりわけ
行なわなければならないのは“従業員不満足の状態を無くす”ことです。

 

ほかにも下記の内容が厚労省から公表されています。

【違反割合を業種別にみると】
 ◆法令違反が多かった業種
   [1] 接客娯楽業 87.9%  飲食店など
   [2] 運送交通業 85.5%  タクシーなど
   [3] 保険衛生業 83.6%  介護施設など

 

 ◆違法な時間外労働が多かった業種
   [1] 運輸交通業 56.8%
   [2] 接客娯楽業 52.0%
   [3] 教育・研究業 44.2%

 

 ◆残業代不払いが多かった業種
   [1] 接客娯楽業 37.0%
   [2] 建設業 37.0%
   [3] 商業 32.5%

 

また、ある大学では学生向けに冊子「ブラック企業の見分け方」を作成し配布しています。
 この冊子では、
   ・3年以内の離職率は30%以上
   ・過去に過労死や過労自殺を出している
   ・短期間で管理職になることを求める
   ・残業代が固定されている
   ・求人広告や説明会で内容がコロコロ変わる

 このような企業は要注意!であると伝えられています。

 

ブラック企業に明確な定義がないため“ブラック企業を見抜く”には『風評』が中心となるはずです。

事業者は「従業員不満足の状態を無くす管理」と、有能な人材を確保するための「風評管理」を行う
ことが必要となります。この管理を怠れば、しらないうちに社会から「ブラック企業の烙印」が押さ
れているかもしれません。

 

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