- 松岡 在丸
- 松岡在丸とハウジング・ワールド
- 東京都
- 建築プロデューサー
対象:住宅設計・構造
家づくりのスタンスにおいては、事業者は次の二つのことを考えています。
すなわち、
如何にして収益を上げるか
如何にして自然を守るか
これはどんな業種においても共通なのかもしれません。
とはいえ、家づくりにおいてはこれがとても大きな違いを生み出します。
家は他のどんな物的商品よりも長く使う
家は少なくとも30年くらいは使いたいものですよね? 私の建てる家は100年使うというものもあります。
さて、収益を上げるとなると、リーズナブルな値段、限られた予算について考えれば、どうしても多くの人は「安い」ものに思いが向きますから、如何にして安い家を作るか、ということになります。
海外の住宅の場合、自然を維持することを重視して家づくりをするのが当たり前なので、住宅の建て替えサイクルは長く、70年、100年、という使い方をすることを考え、より長持ちし歴史的にその技術が認められている、自然素材を使った広い空間の家づくりが必然となってきます。
しかし、今の日本では、できるだけ安い「規格住宅」を建てるために建材メーカーは素晴らしく安いものを作るようになっています。そしてそうした家は手が届きやすいので儲かります。
当然、住宅の建て替え寿命は短くなります。
さて、どちらにしても、30年、50年、70年、100年のどれであっても、他のどんなプロダクトよりも長く使うことに変わりはありません。
衣服よりも、食品よりも、自動車よりも、どんな電化製品よりも。
その住宅建て替えサイクルが短いほど、自然を維持し、守るのとは逆の方向、つまり、自然のサイクルを無視した工業製品を使用することになります。
安く建てようとするとどうしても規格製品が必要になってくるからです。
家は他のどんな物的商品よりも人に影響する
そんな、長く使うものであるにも関わらず、ユーザーは意外なほどに、住宅が人間に与える健康面での問題をないがしろにしがちです。
空気環境の問題だけでなく、埃、日差し、寒さ、そして狭さからくる圧迫感や精神的なストレス。
これらはどれも、住む人にじわじわと影響を及ぼすポイントです。
人間の自然な欲求、つまり生理的な必要に目を向けると、どうしても自然素材や広くて快適な家づくりが必要になってきます。
しかし、限られた土地に限られたスペースの家を建てるとなると、どうしても狭くて暗くて安い家になりがち。
建築業者のポリシーで分かれてくる
つまり、自然に合わせることと、儲ける事とは、トレードオフということです。どちらか一方と優先すれば、他方を諦めなければならないということですね。
ですから、この相反する二つのポリシーについてどんな考え方を持っているのか、ということを、如何にして営業マンやカタログ、そして事業者本人から聞き出すか、ということが大切になってきます。
もし、家族の健康と地球環境を守りつつ、リーズナブルな家づくりをしたいと思うのであれば、そのために何を妥協すべきなのかということを学んでいただきたいですね。
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