- 村田 英幸
- 村田法律事務所 弁護士
- 東京都
- 弁護士
対象:民事家事・生活トラブル
- 榎本 純子
- (行政書士)
田中信之『基礎から学ぶ不動産実務と金融商品取引法』(2008年初版、2011年初版第2刷)
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基礎から学ぶ不動産実務と金融商品取引法/日経BP社 本文は200頁弱であり、図表も多いので、1日で読み終えました。 同書では、金融商品取引法の厳しい規制を受けない「2層ファンド」が詳しく説明されている。同スキームのデメリットとして、①複雑な仕組みになっているため、財務内容などが部外者にはわかりにくい、②親ファンドと子ファンドに二重に費用・手数料がかかる、メリットとして、①分散投資をしやすい、②倒産隔離がしやすい、③関係業者が二重に手数料を稼げる、といった点が挙げられよう。 しかし、例えば、J-REITでは既に倒産した例があるから、倒産隔離は決定的なメリットではない。また、ある投資ファンドでは、多額の損失を出した事例もある(新聞報道によれば、村上ファンド、AIG投資顧問など)。 結局、大口の適格機関投資家、特定の超富裕投資家を除けば、「2層ファンド」を用いる必要性はなさそうである。もっとも、憶測ではあるが、著者にしてみれば、そのような超富裕層を対象にしていると反論されそうだが。 同書148頁に、中間法人法による有限責任中間法人を用いるスキームがあるとの記述がある。 しかし、これは明らかな誤りである。中間法人法による有限責任中間法人は、かって存在したが、平成20年に「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」が施行され、中間法人法は廃止されている。したがって、現在は、有限責任中間法人を使ったスキームは存在しない(神田秀樹ほか『金融法講義』(2013年)494頁)。 その他、金融商品取引法は毎年改正されているので、2008年初版の同書では、ビジネス的な考えはともかく、法的な面での正確性について、不安が残った。
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田中信之『基礎から学ぶ不動産実務と金融商品取引法』(2008年初版、2011年初版第2刷)
同書では、不動産証券化と金融商品取引法との関係について、ビジネス面でのスキーム説明が分かりやすく説明されている。