彼が東京都副知事になったのは、道路公団の民営化委員として石原伸晃規制改革担当大臣に協力した縁で、父親の石原慎太郎前東京都知事の元で副知事に就任しました。7年に東京都副知事となり、12年にはいきなり都知事選に立候補して日本の選挙史上最高得票の433万票を集め知事に就任です。
行政に関しても、地方政治の首長としても、ほとんどトレーニングすることもなく、最初から高い地位就いている人です。石原慎太郎という人も、とても付き合いにくい人として有名でした。作家時代の猪瀬さんも、人から嫌われるタイプとして知られています。早い話、人格に問題がありました。
起業する人の中にも、猪瀬さんに似たタイプの人がいます。会社勤めの時代からよく仕事ができ、起業しても上手くいくと思われながら失敗する人。仕事はとてもよくできますから開業当初は順調ですが、時間の経過と共に経営上の難問に出くわしたとき、大きな失敗を犯すタイプの人です。
大半の人は、仕事のできることと、起業で成功することをイコールで考えがちです。確かに仕事ができることは大事ですが、経営の視点から見ますと、仕事のできることはいくつもある要素の一つができること。起業する人で仕事ができなくても、できる人を雇うことで仕事自体は何とかなります。
経営には、集客、営業、経理、管理など、会社が抱える業務の全てが含まれます。単に、営業の仕事ができるだけでも、商品開発ができるだけでも、経営することにはなりません。よく起業の世界では、開業後10年経つと起業した人の中の、5%程度しか残っていないと言われます。
年間、会社設立をする人が約8万人、自営業で起業する人が同程度と言われる世界で、失敗が多い理由はこの経営を抜きに起業する人が原因と言われます。起業において、十分な準備期間が必要というのは、このような理由があるからです。猪瀬さんも、あまりに順調に副知事、知事と階段を上りすぎた気がします。
【一言】
人生、「禍福はあざなえる縄のごとし」と言います。幸福と不幸とは、一本の縄によったようなもので、常に相伴って起こるもの。今、不幸で苦しんでいる人も、絶えず努力を続けていますと、次の展開では幸福がやってきます。ビジネスにおいては、特にこのあざなえる縄のようなことがよく起こります。焦らず、飽きず、諦めず、目標に向かって進むことです。
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