音楽の著作物の著作権に含まれる権利の種類 - 民事家事・生活トラブル全般 - 専門家プロファイル

村田 英幸
村田法律事務所 弁護士
東京都
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鈴木 祥平
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閲覧数順 2017年10月19日更新

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音楽の著作物の著作権に含まれる権利の種類

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6 音楽の著作物の著作権に含まれる権利の種類
音楽の著作物に特有の支分権として、上演権、演奏権(著作権法22条)がある。

(複製権)
第21条  著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。

(上演権及び演奏権)
第22条  著作者は、その著作物を、公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として(以下「公に」という。)上演し、又は演奏する権利を専有する。

上演とは、演奏(歌唱を含む。)以外の方法により著作物を演ずることをいう(著作権法2条1項16号)。


(上映権)
第22条の2  著作者は、その著作物を公に上映する権利を専有する。

上映とは、著作物(公衆送信されるものを除く。)を映写幕その他の物に映写することをいい、これに伴って映画の著作物において固定されている音を再生することを含むものとする(著作権法2条1項17号)。


(公衆送信権等)
第23条  著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあっては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する。
2  著作者は、公衆送信されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利を専有する。

著作権法2条7項により、「上演」、「演奏」又は「口述」には、著作物の上演、演奏又は口述で録音され、又は録画されたものを再生すること(公衆送信又は上映に該当するものを除く。)及び著作物の上演、演奏又は口述を電気通信設備を用いて伝達すること(公衆送信に該当するものを除く。)を含まれる。

 公衆送信(2条1項7号の2)は、無線・同時受信の「放送」(8号)、有線放送(9号の2)、自動公衆送信(9号の4)を含む。
送信可能化(9号の5)は、自動公衆送信の予備的段階である。
著作権法の「公衆」には、不特定多数だけではなく、特定かつ多数の者を含むものとする(2条5項)。

 公衆送信とは、 公衆によって直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信(電気通信設備で、その一の部分の設置の場所が他の部分の設置の場所と同一の構内(その構内が二以上の者の占有に属している場合には、同一の者の占有に属する区域内)にあるものによる送信(プログラムの著作物の送信を除く。)を除く。)を行うことをいう(著作権法2条1項7号の2)。
分りにくい条文であるが、電気通信設備で同一構内での送信は公衆送信から除外されているが、プログラムの著作物については例外的に同一構内でも公衆送信となる。同一構内の場合に送信権が働かなくも、上演権・演奏権(著作権法22条)・上映権(22条の2)・口述権(24条)で処理できる場合が多いのに対し、プログラムの著作物については、一括購入してLANを通じてホストコンピュータから同一構内の端末に送信して利用 することを防止する必要があるからである(中山信弘『著作権法』221頁)。

 自動公衆送信とは、 公衆送信のうち、公衆からの求めに応じ自動的に行うもの(放送又は有線放送に該当するものを除く。)をいう(著作権法2条1項9号の4)。
 送信可能化とは、 次のいずれかに掲げる行為により自動公衆送信し得るようにすることをいう(著作権法2条1項9号の5)。
イ 公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置(公衆の用に供する電気通信回線に接続することにより、その記録媒体のうち自動公衆送信の用に供する部分(以下この号及び第47条の5第1項第1号において「公衆送信用記録媒体」という。)に記録され、又は当該装置に入力される情報を自動公衆送信する機能を有する装置をいう。以下同じ。)の公衆送信用記録媒体に情報を記録し、情報が記録された記録媒体を当該自動公衆送信装置の公衆送信用記録媒体として加え、若しくは情報が記録された記録媒体を当該自動公衆送信装置の公衆送信用記録媒体に変換し、又は当該自動公衆送信装置に情報を入力すること。
ロ その公衆送信用記録媒体に情報が記録され、又は当該自動公衆送信装置に情報が入力されている自動公衆送信装置について、公衆の用に供されている電気通信回線への接続(配線、自動公衆送信装置の始動、送受信用プログラムの起動その他の一連の行為により行われる場合には、当該一連の行為のうち最後のものをいう。)を行うこと。


カラオケ法理
曲を生演奏したり、カラオケ装置を用いて曲を再生して、客に歌詞を歌唱させることは、店の経営者による音楽の著作物の演奏権の侵害である(最高裁昭和63年3月15日民集 第42巻3号199頁[カラオケ店事件])。

カラオケ装置をカラオケ店にリースすることは、リース会社の演奏権、上演権の侵害となる( 最判平成13年3月2日 民集 第55巻2号185頁[カラオケ・リース事件])。

なお、ビデオなどは映画の著作物であるから、その中に音楽の著作物が含まれていれば、映画の著作物の上映権の侵害と同時に、音楽の著作物の演奏権などの侵害となると解される。

 最判平成23・1・18民集第65巻1号121頁(まねきTV事件)によれば、公衆送信権、送信可能化権の侵害とされた事例において、以下のとおり、判示している。
1 公衆(著作権法2条5項)の用に供されている電気通信回線に接続することにより,当該装置に入力される情報を受信者からの求めに応じ自動的に送信する機能を有する装置は,あらかじめ設定された単一の機器宛てに送信する機能しか有しない場合であっても,当該装置を用いて行われる送信が自動公衆送信(著作権法2条1項7号の2、同条項9号の4)であるといえるときは,自動公衆送信装置(著作権法2条1項9号の5)に当たる。
2 公衆の用に供されている電気通信回線に接続することにより,当該装置に入力される情報を受信者からの求めに応じ自動的に送信する機能を有する装置が,公衆の用に供されている電気通信回線に接続しており,これに継続的に情報が入力されている場合には,当該装置に情報を入力する者が送信の主体である。
3 したがって、上記は、著作権者の送信可能化権・公衆送信権(著作権法23条1項)、放送事業者の送信可能化権・公衆送信権(著作権法99条の2)を侵害する。
(注)なお、放送とは、同時に受信される無線放送のことである(著作権法2条1項8号)。
(送信可能化権)
第99条の2  放送事業者は、その放送又はこれを受信して行う有線放送を受信して、その放送を送信可能化する権利を専有する。
2  前項の規定は、放送を受信して自動公衆送信を行う者が法令の規定により行わなければならない自動公衆送信に係る送信可能化については、適用しない。


最高裁平成23・1・20民集第65巻1号399頁(ロクラク事件)
放送番組等の複製物を取得することを可能にするサービスにおいて,サービスを提供する者が,その管理,支配下において,テレビアンテナで受信した放送を複製の機能を有する機器に入力していて,当該機器に録画の指示がされると放送番組等の複製が自動的に行われる場合,その録画の指示を当該サービスの利用者がするものであっても,当該サービスを提供する者はその複製の主体と解すべきである。
したがって、上記は、著作権者の複製権(21条)と放送事業者の複製権(98条)を侵害する。
(複製権)
第98条  放送事業者は、その放送又はこれを受信して行なう有線放送を受信して、その放送に係る音又は影像を録音し、録画し、又は写真その他これに類似する方法により複製する権利を専有する。


(口述権)
第24条  著作者は、その言語の著作物を公に口述する権利を専有する。

音楽の著作物の歌詞は、言語の著作物にも該当する。

口述とは、朗読その他の方法により著作物を口頭で伝達すること(実演に該当するものを除く。)をいう(著作権法2条1項18号)。

(頒布権)
第26条  著作者は、その映画の著作物をその複製物により頒布する権利を専有する。
2  著作者は、映画の著作物において複製されているその著作物を当該映画の著作物の複製物により頒布する権利を専有する。

 頒布(著作権法2条1項19号)とは「有償であるか又は無償であるかを問わず、複製物を公衆に譲渡し、又は貸与することをいい、映画の著作物又は映画の著作物において複製されている著作物にあっては、これらの著作物を公衆に提示することを目的として当該映画の著作物の複製物を譲渡し、又は貸与することを含むものとする。」である。

 著作権法26条2項は、映画の著作物に音楽の著作物・美術の著作物などが含まれている場合も多いので、上記のように定義されている。


(譲渡権)
第26条の2  著作者は、その著作物(映画の著作物を除く。以下この条において同じ。)をその原作品又は複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあっては、当該映画の著作物の複製物を除く。以下この条において同じ。)の譲渡により公衆に提供する権利を専有する。
2  前項の規定は、著作物の原作品又は複製物で次の各号のいずれかに該当するものの譲渡による場合には、適用しない。
一  前項に規定する権利を有する者又はその許諾を得た者により公衆に譲渡された著作物の原作品又は複製物
二  第67条第1項若しくは第69条の規定による裁定又は万国著作権条約の実施に伴う著作権法の特例に関する法律 第5条第1項 の規定による許可を受けて公衆に譲渡された著作物の複製物
三  第67条の2第1項の規定の適用を受けて公衆に譲渡された著作物の複製物
四  前項に規定する権利を有する者又はその承諾を得た者により特定かつ少数の者に譲渡された著作物の原作品又は複製物
五  国外において、前項に規定する権利に相当する権利を害することなく、又は同項に規定する権利に相当する権利を有する者若しくはその承諾を得た者により譲渡された著作物の原作品又は複製物

(貸与権)
第26条の3  著作者は、その著作物(映画の著作物を除く。)をその複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあっては、当該映画の著作物の複製物を除く。)の貸与により公衆に提供する権利を専有する。

(翻訳権、翻案権等)
第27条  著作者は、その著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利を専有する。

翻案には、編曲が例示されている。
編曲とは、既存の音楽の著作物をアレンジすることを指す(中山信弘『著作権法』129頁~130頁)。

例えば、英語の歌詞のついた音楽を日本語の歌詞をつける場合には、翻訳・翻案になる。

東京地判平成12・2・18(「どこまでも行こう」事件)は、メロディの同一性を第1に考慮すべきとして、非侵害とされたが、その控訴審である東京高判平成14・9・6では、原告の曲は著名であり、原告の曲と被告の曲は、異なる楽曲間の旋律の類似の程度として、他に類例を見ないほど多くの一致する音を含む(約72%)ので、侵害とされた(上告棄却)。

(二次的著作物の利用に関する原著作者の権利)
第28条  二次的著作物の原著作物の著作者は、当該二次的著作物の利用に関し、この款に規定する権利で当該二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を専有する。

二次的著作物とは、「著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案することにより創作した著作物」をいう(著作権法2条1項11号)。
共同著作物とは「二人以上の者が共同して創作した著作物であって、その各人の寄与を分離して個別的に利用することができないもの」をいう。(著作権法2条1項12号)

 

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