一流のコックvs妻の手料理。勝ったのはどっち? - 建築プロデュース - 専門家プロファイル

松岡 在丸
松岡在丸とハウジング・ワールド 
東京都
建築プロデューサー

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対象:住宅設計・構造

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一流のコックvs妻の手料理。勝ったのはどっち?

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ある国で、食に関する実験をしたそうです。

妻の食事が美味しくてたまらない、という男性に対して、プロ中のプロで、その国でも指折りの一流コックと言われる料理人たちが、自らの料理で闘いを挑む、というものでした。

厳選された素材、世界中を渡り歩いて習得した技術、男性の好み。あらゆるものを駆使して数々の素晴らしい料理を整え、振舞ったのです。

男性の反応は、「どれも美味しい」というものでした。

次に、妻が普段通りに作った料理を食べたところ、男性の反応は意外なものでした。

「妻の方が格段に美味い!」ということだったのです。

この実験によって、多くの方々が幻滅したそうです。なぜだかわかりますか?

実は、妻の料理には味覚を刺激する化学調味料がふんだんに使われていたんです。


健康を維持できなければ本末転倒?

どんなプロダクトも、料理のようなものに例えることができるかもしれません。

クルマでも家でも電子機器でもそうです。素晴らしいプロダクトはたくさんありますが、それによって「楽しい」「うれしい」と思えても、体を害してしまったり、あるいは対人関係に問題を生じさせてしまったりしては、元も子もありません。

人は一人では生きていけませんから、どうしたって、家族や友人、また自分を世話してくれる人の存在が必要です。

そのための家づくりなのに、「化学調味料」のようなもので家をプランニングするとどういうことになるでしょうか。

現代人の多くは、すでに生まれた時から科学技術の恩恵にあずかっているために、それが有害かどうかということに気付けない状況にあります。それが、家づくりにも影響していることを知らないで済ますわけにはいかないでしょう。


幸せな空間は規格素材に依存しない

日本の家づくりは、ほとんどの場合に「規格」というものが存在します。規格品で家づくりをすれば安上がりになりますし、時間も掛かりません。そして見栄えも良く、快適に生活できるように思えます。

ところが、実際にはそうではないようです。

世の中で成功している人、幸せに生活している人が、必ずしも科学技術に頼った、快適で規格化された空間で生活しているのかというと、決してそうではないからです。

古い家屋でも、楽しく健やかに生きている人は数多くいらっしゃいます。築60年の古い家でもそうです。

どうしてなのでしょうか。

狭い規格品の家ではなく、そこに「空間力」を持っているからなんです。

人と人とがコミュニケーションを図れる場所、一人で静かに思いに浸れる場所、何かに集中したいときにそうできる場所が、「家」に備わっているんですね。

もし、自宅でそれが難しいという方の場合、図書館や学校施設など、広い空間でも集中できる場所を見い出します。個室を借りるケースもありますね。

規格化された空間で生活しようとするとき、大切なのは素材が最新鋭かどうかではなく、広さや明るさです。どんなに古い材料でも、広ければ快適に過ごせます。

逆にどんなに気密性が高くても狭ければ精神的に害を及ぼしかねませんし、化学物質の影響に曝されやすくなります。自然素材のほうが望ましいですね。


家づくりにおいては、一般的に化学工業で作られた家の方が多くの人の心を捉えます。

しかし、それで必ずしも幸福が持続する家になるわけではありません。むしろ、その逆のパターンのほうが多いように感じます。

しかし、大空間を化学素材で作るよりも、自然素材で作るほうが安上がりになることもありますし。もっともっと真剣に家選びをしても良いのではないでしょうか。

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