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ベテラン弁護士はなぜ若手のこともみな「先生」と呼ぶのか

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日本は「タテ社会」である、と看破したのは、名著、『タテ社会の人間関係』(中根千枝著)。
人と人とのつながりを、「タテのつながり」と「ヨコのつながり」に分けたときに、
日本人はタテのつながりを重視している、と。
例えば会社員なら、別の会社に属する人間同士でも、
それぞれ課長だったり部長だったり、職級をまず第一に考える。
そのベースになっているのは、「場」。
囲われて閉じているので、その中での上下関係が基礎になる。

それまでタメ語で「だよね」って言ってたのに、
学年や入社年次が上だということがわかると突然、「ですよね…」と言い換えた経験を持つ人は多いと思います。
学校なり会社なりの「場」の中でのタテの上下関係、みんな気にしているのですね。

「ムラ社会」ともいいますね。
これは、社会学で、農村社会の成り立ちが
領主(大名)>代官>名主>本家>分家・小作人・・
というタテの関係になっている、という風に分析されてきたことからきています。

一方で、ほとんど触れられてはいませんが、
中根先生は、「横のつながり」のベースは、「資格」である、と言われています。

同じ「資格」を持つ者同士の、水平のつながり。

それぞれは、「同格」なのです。

だから、大きな事務所の代表をされているベテラン弁護士の方は、
同じ弁護士であれば、
どんなにヒヨッコでも必ず、「○○先生」と呼びかける。
もちろん、事務所内では、代表>ヒラ、という関係ですから「オイ」なんて言ってらっしゃるかもしれませんが。

法廷で対峙する時、原告側の弁護士と被告側の弁護士の間で
序列があってはいけませんから、確かにそうじゃなければいけませんね。

さらに、弁護士会で何かを議決するときも、
30年のベテランも1年目の弁護士も、同じ「一票」。

こうした関係は、教諭であったり、医師であったり、
こと「資格」をベースとした社会では、当たり前のこと。
会社員や組織に属した経験しか持たない方にとっては、不思議な関係に見えるかもしれません。

ただ、こうした「資格」をベースにしたヨコのつながりは、
日本では特殊なことかというと、実はそうではありません。

『忘れられた日本人』で知られる民俗学者、宮本常一は、
「歩いた後をペンで記したら日本地図が真っ赤になる」と言われるくらい
津々浦々すみずみまで歩いて民俗収集をした方ですが、
「タテのつながり」が優越する村があると同時に、
村人皆が水平で同格の、横のつながりが優越する村もたくさんあったことを紹介しています。

お祭りだったり農作業や漁など、案件ごとに一番知恵と技術を持つ人がトップになるような、
そんな村はたくさんあったのです。

身分社会だったという江戸時代だってそう。
こと公の場では武士>町人だったとしても、
例えば短歌だったり茶の湯だったり芸事だったりの場面では
たとえ大名だとしても、町の商売人を「先生」として尊重する。
農家の若者も代官所のお役人も、同じ先生の弟子なら、同格なのですから。

というわけで、
この中根先生の「ヨコ社会のベースは資格」という言葉に出会って以来、
宮本先生の著作集や江戸文化についての研究など、
いろいろ読み漁っています。
もともと専門だったわけではないのでちょっと大変なのですが、
それでも、自分たちの根っこにも「資格」があるのだ、ということが分かるのは、
とてもワクワクさせられます。

日本は、ヨコ社会でもある。
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『稼げる資格』 資格専門誌『稼げる資格』編集長

働く個人の側に立ち、資格や学びを活用したキャリアづくりを提案

現在編集長をしている資格や大学院の専門誌をはじめ、就職、転職、U・Iターン、進学とこれまで一貫して個人のキャリアを提案するメディアを作ってきました。過去取り扱った2000人以上に上るライフヒストリーを元に、リアリティのある情報を提供します。

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