高齢者や小さな子供のいる家庭にとっては、身の危険を感じる暑さでしたから、ネットスーパーやコンビニの宅配を利用する人が増えたようです。これまで、大手の1、2社を除くと赤字続きだったネットスーパーの多くが、この夏は売上げを1.5倍から2倍近くまで伸ばしています。
起業して小売で開業している人たちからも、宅配サービスを始めるのはどうかといった相談をもらいました。暑さで売上げ不振が続いていましたから、宅配を始めることで売上増につなげたい思惑があります。ネット販売が好調だったのに比較して、店舗販売は少ないお客さんに泣かされていました。
宅配サービスを考える上で問題となるのは、宅配の注文が秋以降も衰えず続くかどうかです。もう一つは、宅配をすることで割増料金を取れるかどうか。現在のスタッフで遣り繰りができるのなら問題はありません。配達スタッフを増やしても、その分コストにかかる料金を取れないと店の負担になります。
わが国においては、宅配は60年から70年にかけては、よく行われていたサービスの一つです。ところが、人手不足やガソリン代の高騰があって、宅配は姿を消しました。再び宅配が復活しつつありますが、本質はモノが売れないために、少しでも売るための販売促進の一面があります。
今後わが国の景気が上昇しますと、人手不足は深刻な問題になります。とてもじゃないですが、別料金を取らないで宅配をしていては店の経営を苦しくします。宅配サービスを始めたのに、いきなりサービス中止ではお客さんに不信感を与えます。店としてのダメージは大きいです。
中堅・大手企業と違って小企業の場合、スタッフを増やしてサービスを追加しますと負担が重くなります。周辺の環境もよく考えて慎重に行わないと、お客さんを喜ばせて、結果的に宅配を続けられないことにもなります。目先のプラスばかりでなく、マイナス面も考え、慎重な判断をしましょう。
【一言】
経済は変化が激しく、現在がどのようなポジションなのか見失うことがあります。全国では当然バラつきはありますが、業種によって人手不足は深刻な状態です。小企業がアルバイトやパートを募集する場合、なかなかスタッフが集まらないことは覚悟したほうがよいです。そのため、宅配でスタッフ募集をかけるのは、従来以上にリスクが高くなると思います。人集めで苦労し、宅配するお客さん探しで苦労し、その上無料で宅配するようでは、踏んだり蹴ったりです。
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