家づくりは「何年住み続けるのか」考えよう - 建築プロデュース - 専門家プロファイル

松岡 在丸
松岡在丸とハウジング・ワールド 
東京都
建築プロデューサー

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対象:住宅設計・構造

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家づくりは「何年住み続けるのか」考えよう

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家を建てよう・買おうと思ったときの行動にはいくつかのパターンがあります。

住宅展示場に行く。

本屋で情報誌を購入する。

家づくりについて学ぶための書籍を購入する。

インターネットで調べる。

知り合いの建築業者に相談する。

最終的にはモデルハウスや施工事例を見に行く、ということになるわけですが、どのアプローチでも、結果として購入する住宅というのは「きっかけ」の連続になることが多いわけです。

自分で納得が行くように選んでいるようで、実際には選ばされているということに気付くことも少なくありません。

自分で選びたいのに選べない大きな分野に、「何年住むか」という仕様があります。例えば住宅展示場にあるメーカーの家ではほとんどの場合、30年から40年で建て替えるという考え方で家が提供されています。


家の耐用年数で考える

家を建てるとき、ほとんどの方は30年から40年住み続けるという考え方でイメージします。あるいは、まったくイメージを持っていないケースもあります。

30年先、40年先のことは考えられないというわけです。

もちろん、そんな先のことは見えません。しかし、はっきりと理解できるものがあります。

それは、自分と家族の年齢です。

もし今、30歳前後の方であれば、30年後は60歳、40年後は70歳です。

さて、30歳の時には快適に過ごせたとしても、60歳のときにはどうでしょうか。70歳ではいかがでしょうか。

こう考えると、家づくりが実は一生に一度ではなく、2度になるケースがある、ということになります。

もし60歳で家が住みづらくなったら、バリアフリー化なども含め、建て替えや住み替えを考えたくなるわけです。

その頃に、それだけの経済力が見込めるのであれば良いのですが、むしろその経済力こそ、先行きが見えないのではないでしょうか。

つまり、何千万円も掛けて家を建てようとする今、自分や配偶者が60歳、70歳になる時にどのように過ごせる家になるか、ということを考える必要があるわけです。

建て替えるだけの予算が見えないのですから、耐用年数をできるだけ長くイメージして家づくりをしておく、という観点でも考えてみることをお勧めします。


耐用年数の主な判断材料は構造的な強さ。リフォームし難い部分だからです。

構造体が、地震に強いというだけでなく湿気や振動含めた経年変化に対しても耐久性があり、30年や40年そこらでは支障がないという仕様であればよいのですが、ほとんどの場合、例えば集成材を土台に使って家が20年でダメになるケースもあり、日本の現代建築で40年後も頑丈な構造と言える家を建てる方は稀です。

だからこそ考えていただきたいのです。

30年後、40年後、どうなっているか分からない家族の状況に対して、家そのものはその変化を受け止められる仕様になっているかどうか、ということ。

それには、住宅の耐用年数として、「何年住むつもりの家を建てるのか」という観点での家づくりが重要になってきます。

 

バリアフリーと構造

長く使う家ということは、あらゆる世代の人が住む、ということでもあります。

バリアフリーも当然ですが、そこには「車イスでも余裕を持って動ける広さ」という観点でのプランニングも大切です。ただ段差がないだけのバリアフリーではなく、十分の広さが確立されての快適な空間を実現することです。

そうすると、30年後も、広くて明るい、住みやすい間取りということになります。古民家でも残っている家の多くは広く使える間取り。好まれるものもそうです。中古物件でも、広い空間がある家は人気があります

また、二階建てが主流となっているところでは、当然、耐震性という観点から構造的な強さも求められてきます。

通常、日本の家は一度の大地震には耐えられるように建てるよう期待されていますが、二度の大地震ということは想定されません。また、一度目の大地震でどれだけ補修が必要になるか、ということも、要求はありません。命が守られればよい、という考え方ばかりです。

大きな災害の後には経済も不安定になり、すぐに建て替えというわけにはいきませんから、頑丈な家として耐久性能を持たせるには、70年ぐらいは住めるという構造的な耐用年数を考えておくことをお勧めします


今後、家づくりで迷った場合には、まず、耐用年数で「30年住める家」「70年住める家」「100年以上住める家」という観点で、情報収集をされることも検討してみてください。

 

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