住宅のなかで「ただの廊下」ほど無駄に思うことがないでしょうか? 実際、できるだけ居室面積を広く確保するための設計手法として、廊下部分の面積を最小にするために様々な工夫をすることはよくあるのですが、集合住宅などで躯体の形や開口部の方向などが決まっている場合は、どうしても廊下をつくらざるをえないケースがあります。
このマンションの邸宅もやはりどうしてもある程度の長さの廊下が必要なため、発想の転換をし、廊下空間をこの邸宅の品格を象徴するような空間にすることにしました。
壁面には素材が美しいライムストーンという天然石を使い、アルコーブ(壁面をくぼませた空間)をつくりちょっとしたギャラリー空間を設けています。 ダークブラウン色のゼブラウッドの建具とのコントラストを活かすため、床はライムストーンと同系色の磨き仕上のタイルを使用しています。
廊下は常に、毎日かならず通る空間でもあり、日常の中でもあまり煩雑にならない空間でもあるため、「美しい空間」に設えることで「贅沢空間」になるのです。
住まいのどこかに「贅沢空間」をつくることは、暮らしの中でとても魅力的だと思います。
このコラムの執筆専門家

- 酒井 正人
- (東京都 / 建築家)
- サカイデザインネットワーク有限会社 取締役社長
住む人の手が触れる場所から、建物へ、街へと心地良さを拡げたい
設計手法・デザインの発想は「内側から外側へ」・・・建物という器だけをつくるのではなく、私達が暮らす場である生活空間の細部から生活環境全体のデザインを追求し「心地よさ」をご提案しています。
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