- 前田 紳詞
- 代表取締役
- ファイナンシャルプランナー
対象:お金と資産の運用
世界中で進む人口減少
これまで”グローバル化” ”フラット化”という新しい社会の変化についてご説明しました。
もう1つ重要な変化が起きています。それは”人口減少”です。
日本では”少子化”が問題になっていますが、この現象は世界中で起きています。
”出生率”という男性と女性のペアから子供が何人生まれるかというデータがあります。
このデータでは、日本の出生率は約1.2〜1.3です。これは2人から1人しか子供が生まれないことを意味します。
アジアのほとんどの国で同じ現象が起きていて、韓国、香港、シンガポールなど、全て日本と同じぐらいか、それ以下です。
人口が世界一の中国も例外ではなく出生率がどんどん下がっています 。その結果、中国の人口は2015年から減り始めることが予想されています。
電車の風景
このことは現地で地下鉄などの交通機関を利用すると実感できます。
日本で地下鉄に乗ると、老人か30〜40代ぐらいの人達が多いです。韓国でも同様です。ところがタイでは20代ぐらいの人が多くなります。中国では10代後半ぐらいの若者が多くなります。
電車に乗ると、どれぐらいの年齢がその国に多いかを実感できます。
20年前の欧州は日本や韓国と似たような感じでした。ドイツやフランスで路面電車に乗るとお年寄りが大変多かったのを覚えてます。
当時のヨーロッパは出生率が低く、政府がいろいろな対策を施しました。その結果、今はかなり改善されています。
日本では、出生率が上がった理由として”女性の労働環境が改善されたから”とか”出産や子育てに補助金が出るようになったから”と言われています。
現地に行くと、本当の理由はアフリカやアジア、南米から”移民を多数受け入れたから”というのが分かります。
例えば、サッカーワールドカップの試合を見れば、欧州の選手にアフリカ系の人達が多数いることに気づくでしょう。
今後、日本の人口を増やそうと思えば、”移民”の受け入れについての議論が避けられないでしょう。
経験したことのない社会
人類の歴史上、人口が急激に減っていったのは、中世、ペストが大流行した時ぐらいです。それ以外は常に人口は増え続けています。
人口減少は ”医療” ”年金” ”雇用” など、さまざまな分野で影響をこれからも与えていきます。
すでに年金の分野では世界の先進国ではこれまでの年金制度が続けられなくなり、見直しの議論が起こっています。
例えば、日本では国民年金や厚生年金が将来、減額の方向であったり、米国では自動車メーカーのGMが従業員の年金を維持していたら経営が厳しくなりました。
最近では英国でも企業が従業員の年金を積立・運用していくことが難しく制度改革をしようとしています。
アジアの一部やノルウェーは国民の年金を”政府系ファンド”という公的な投資機関を作って年金資金を運用しています。
医療の分野で言えば、国内の治療費が上がる一方のため、最近では”メディカル・ツーリズム”という海外での治療が盛んになってきました。
このように”人口減少”は世界にいろいろな影響を与え始めています。
これが今後、社会にどうのような影響を与えるか考えておくことが今後の投資対象の選定に役立つことでしょう。