この建物は地上3階建て一部2階に吹抜けのある空間です。中間の2階床コンクリートに空調ダクトを埋込み、そこに温風を循環させることで建物全体を暖める躯体蓄熱(くたいちくねつ)暖房としています。
躯体蓄熱暖房 レガレット社(スエーデン)
エネルギーは安いところで灯油か深夜電力です。ここは灯油を採用。ボイラーでお湯を沸かして建物に送り温風に切り替えて吹き出しています。
50?の床で120?の全館暖房の工事費は灯油タンクやボイラーを含めて約150万円でガスや電気の床暖房に比べると半分から1/3近いでしょうか?
光熱費はガスのファンヒーターを使った個別暖房に比べ半分以下の計算です。
8帖のリビングに4.5帖大の個別床暖房と違い、床全体を暖めます。
維持管理も空気(温風)を流しているので、温水や電気を流す床暖房に比べ、床からのメンテナンスは一切不要です。仮に空気がコンクリートの床内に漏れても性能にあまり影響しないので、温風を送っている機械(60cmほどの小さなユニット)のメンテナンスですみます。
注意点は機械まで送る温水配管のルートは管理可能な設計にしておくこと。灯油ボイラーは運転時に若干、臭いが出ますので 隣地の吸気孔や窓のそばは避けた方が良いこと。出来れば、蓄熱体である密なコンクリートを設計・監理することです。
上の写真はダクトがsetされた床です。
下の写真はその機械です。
このコラムの執筆専門家

- 中村 雅子
- (東京都 / 建築家)
- 株式会社タジェール 建築家・インテリアデザイナー
街並みや生活スタイルから“建築”のあるべき姿を見つけます
2006年、40代半ばで住居兼事務所の建物を創りました。都市部にありながらも開放的な住まいになっています。家づくりを検討されている方にはご案内いたしますので、直接ご連絡下さい。又、環境共生型など様々な新しい試みもしています。
03-5305-2773
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