美術の著作物、その2 - 民事事件 - 専門家プロファイル

村田 英幸
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鈴木 祥平
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閲覧数順 2017年04月27日更新

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美術の著作物、その2

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美術の著作物

 

著作権法

 

第1、定義

美術の著作物とは、絵画、版画、彫刻その他の美術の範囲に属する思想又は感情を創作的に表現したもの(著作権法2条1項1号、10条1項4号)である。

 「美術の著作物」には、美術工芸品を含む(著作権法2条2項)。

第2、美術の著作物に該当するかが問題となるもの

ア、書

著作権法10条1項4号には、書画が例示されていないので、美術の著作物に該当するかが問題となる。

例えば、漢字について、独占権を認めることはできないが,観賞用の独特の書風(筆勢、運筆、墨の濃淡、文字と用紙の余白とのバランスなど)をもって書かれた書については、美術の著作物に該当する場合がある( 最判昭和59・1・20、顔真卿事件)。

ただし、書風や流儀そのものは、美術の著作物ではないと解されている。

イ、印刷用書体

漢字などの文字については、万人共通のものであるから、独占権を認めることはできないから、原則として、印刷用書体について、著作物性を認めることはできない( 最判平成12・9・7、タイプフェイス事件)。

なお、実際に印刷用書体について、著作物性を認めた裁判例はない。

ウ、応用美術

著作権法2条2項には、美術工芸品を含むと規定されているので、実用上または産業上利用される応用美術が、美術の著作物に該当するかが問題となる。

美的な実用品または産業上利用されるものは、意匠法による保護を受ける場合がある。

そこで、応用美術の著作物が著作権法の保護を受ける著作物に該当するかが問題となる。

実用的・産業上の利用目的のために表現上の制約があったり、必要不可欠な表現、ありふれた表現などは、「思想又は感情を創作的に表現したもの」(著作権法2条1項1号)に該当しないから、純粋美術と異なり、美術の著作物に該当しないと解される。

エ、キャラクター

漫画のキャラクターそのものは、美術の著作物ではなく著作権法による保護を受けないが(漫画は著作権法による保護を受ける)、不正競争防止法による保護を受ける場合がある( 最判平成9・7・17、ポパイ事件)。また、キャラクターはパブリシティ権による保護を受ける場合もある。

第3、美術の著作物の原作品(有体物)の所有権と著作権の関係

 有体物としての美術の著作物の所有権と、美術の著作物の著作権・著作者人格権は、合致しない場合がある。

美術の著作物の著作権に含まれる特有の支分権として、展示権(著作権法25条)がある。

例えば、画家(著作者)が美術の著作物を描いた場合、美術の著作物の原作品の著作権は画家が有するが、原作品の譲渡により、展示権(著作権法25条)を画家が原作品の所有者に行使はできないが(著作権法45条、18条2項2号)、例えば、著作物に改変などを受けた場合に著作者人格権を行使できる場合がある(著作権法20条(同一性保持権)など)。

また、著作権が消滅した後、原作品の所有権者が、著作物の著作権を主張することはできないし、第三者が原作品の所有権の排他的支配を侵害することなく著作物を利用しても、原作品の所有権を侵害するものではない(最判昭和59・1・20、顔真卿事件)。

第4、公表

 美術の著作物は、美術の著作物の原作品の所有者又はその同意を得た者によって、美術の著作物をその原作品により公に展示(著作権法第45条第1項に規定する者によって同項の展示)が行われた場合には、公表されたものとみなす(著作権法4条4項)。

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