本当に必要? 杭打ち工事 - 住宅設計・構造設計 - 専門家プロファイル

鈴木 克彦
株式会社マクス 代表取締役
建築家

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対象:住宅設計・構造

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本当に必要? 杭打ち工事

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ティンバーフレーム工法の住宅 富士市 時を刻む家
このシリーズでは、私がお勧めする欧州伝統工法の百年住宅「ティンバーフレームの家」の、実際建てた家の建築風景をダイジェストでアップしてみようと思います。


今回は、地盤改良工事についてです。

実はこのお宅、「住宅に関する最新情報」というコラムの中にも書いていますが、「ネットコンペ」がご縁でお仕事をさせて頂いたお宅でした。

インターネットのコンペティションだったため、お客様は私以外の複数社から、
「この辺は地盤が弱いので杭打ちが必要です」
と言われていたそうです。

もちろん私も、建築地の地盤が良くない事は知っていましたが、地盤調査の結果から、
「杭打ちまでは必要ありません」
とお伝えしました。


そもそも、地盤調査業者と杭打ちなどの地盤改良業者が同じ場合、やはり後々のクレームも怖いし仕事にもなるから、改良を進めがちです。

家を建てる方も、工事金額も上がるし、万が一の地盤沈下の心配もなくなるし、やっぱり杭打ちなどの数百万かかる大がかりな工事を勧めがちです。

そしてお客様も、自分の家が傾いたら困るから、といって、工事をやってしまう…。


でも、本来不必要な工事なら、やっぱりやるのはおかしいですね。


この現場では、調査専門業者の地盤調査の結果、
「80cm程度の表層の土の入れ替えでベタ基礎にすれば十分」
と出ていました。

そして、地盤保証会社は、良く転圧すれば、ベタ基礎のみでも、万が一地盤沈下で住宅が傾いた場合、免責無しで5000万円までの保証を付ける、と言う事でした。

これなら安心です。


それでもお客様は、
「本当に杭を打たなくても良いのかな〜 …?」
と最後の最後まで心配だったと思いますが、私は、大丈夫です、と言っていました。

そして実際に掘ってみると…、

写真の様に、70cmのところでやっぱり堅い層が出てきました!



私も内心胸をなでながら、お客様には
「ね、何百万も土の中に埋めなくて良かったでしょ?」
とお伝えしました。

お客様も安心して頂きました。めでたしめでたし!