- 杉浦 繁
- Atelier繁建築設計事務所 代表
- 愛知県
- 建築家
対象:住宅設計・構造
はっきり言って迷惑です・・1。
ガラス張りの家というのが流行しているのでしょうか?
何だかそこここで見かけます。
有名建築家とか天才建築家と自称する人たちが、そこいらじゅうに作りまくっているようなのです。
まあ・・
私のような凡才建築家にはまったく理解できない世界がそこには広がっているわけです。
そもそも、全体をガラス張りにした建物というのは1851年のロンドン万博の際にジョセフ・パクストンという人が初めて水晶宮という建物を作ったのですが・・
ガラスという物の発明と建物の工業化という流れから言えばいつかどこかには出来るべくして出来た物だったのだと思われます。
その後、ガラスカーテンウォールという外壁を全てサッシにしてしまう工法が発明されると世界中に爆発的に広がっていきました。
そもそもは、大きな建物の奥底にまで陽光を届けることが可能になるのと、半可視を可能にする独特の
デザイン性から大きなビルや店舗などでは今や常識と言えるほどに広がっています。
ただ・・
それは、あくまでもプライバシー確保の必要性が低い建物・・
あるいは、逆に内部を外に見せたい建物・・
に限ってのことでした。
が、それも今は昔・・
有名なところで総ガラス張りの家と言えば、ドイツの近代建築の祖、建築家ミース・ファン・デル・ローエによるファンズワース邸やアメリカの大建築家フィリップジョンソンによるガラスの家などがあります。
ただ、これらはみな広大な土地のなかに建つ一軒家。
敷地の外からは家を見ることもできません。
つまり広大な敷地全体を家ととらえ、その大自然と室内を一体化するためにガラス張りにされたもので、プライバシー確保には何の問題もありませんでした。
我が国でも山中の別荘や広大な田園の中の一軒家であれば何の問題もないことでしょう。
しかし、現在・・
この小さな国で、町中の道路に面した小さな敷地いっぱいに建つプライバシーの確保がもっとも必要とされるはずの住宅が総ガラス張り!
世の中変われば変わる物です。
作り手にはミースやジョンソンになりたい人がたくさんいるのですから・・
目立つ物を作ってマスコミに出たい作り手はいくらでもいるでしょう。
ただ、それを望む施主の出現には驚くべき物があります。
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