- 中村 英俊
- 株式会社第一広報パートナーズ 代表取締役 広報コンサルタント
- 東京都
- 広報コンサルタント
対象:広報・PR・IR
- 中村 英俊
- (広報コンサルタント)
- 中村 英俊
- (広報コンサルタント)
2013年度がスタートし、4月1日には多くの企業で入社式が行われました。報道によれば、大卒・高卒含め約70万人が新社会人になったそうです。2日の新聞紙面には話題の企業の入社式の様子や社長の訓示が掲載されました。
日本経済新聞では、日立製作所と火力発電システム事業の統合を決断した三菱重工業、三越伊勢丹、東芝等が、読売新聞では日本銀行、トヨタ自動車、パナソニック、シャープ、ルネサスエレクトロニクス等が取り上げられていました。どちらの新聞にも登場したのは、合併後初の新入社員を迎える新日鉄住金と新入社員の1割以上が外国人だという楽天の二社で、それぞれの社長の挨拶内容が紹介されていました。
入社式といえば、広報担当者が自分の会社(多くの場合その社長)が取り上げられるチャンスとばかりに、入社式をマスコミにオープンにし、入社人数や式の内容、そして社長が新入社員に対して行った挨拶をニュースリリースとしてまとめ、マスコミに配る企業が一般的のはず、との先入観を抱いていましたが、必ずしもそうではないようです。
先日、業界を代表する企業の広報の方とじっくりお話をする機会があり、入社式の話になりました。その会社では例年、入社式で行ったトップの訓示のみを要約し、リリースの形にしてマスコミに配布しているそうです。このため、何人が入社し、どこで行われたといった情報はリリースからはわかりませんでした。
気になって日本を代表する企業のウェブサイトでニュースリリースの項目を調べてみると、意外な事に、トップの訓示はおろか、入社式に関して何も発表していない企業が少なくないということです。入社式に臨む当人はもとより、その親御さんや来年以降に入社を希望する学生や学校関係者など、関心を持つ人は少なくないはずなのですが。もしかしたら、採用情報のページに入社式の情報があるのかもしれませんが、仮にそうであってもニュースリリースの項目にも反映していい内容なのではないでしょうか。
同じことは採用計画についても言えます。前述の広報の方の会社では、ニュースリリースの形では発表せず、この時期に多いマスコミが実施する採用アンケートに答えるだけにとどめているそう
です。「それはもったいない」と私から発表を提案し、「(来年度以降に実施できるか)検討してみる」と言っていました。大きな会社であればあるほど世間の関心は高いはずであり、記事にもなりやすいはずです。そして何より、より多くの優秀な学生を確保したいと願う人事にとってもアナウンス効果は高いのではないでしょうか。
入社式にしても採用計画にしてもそれぞれの会社の事情やスタンスがあるので、“何が何でも発表すべし”とは言い切れません。しかし、特に採用計画は機関決定を経ているはずの内容であり、対外発表を躊躇する理由はほとんどないように感じます。
もし入社式や採用計画に関する発表を行っておらず、疑問に感じている広報の方がいましたら、今一度再考されてはいかがでしょうか。
橋本拓志
広報コンサルタント
Twitter ID:@yhkHashimoto https://twitter.com/yhkHashimoto
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