「相手軸な話」㉖ひとりの問題は店全体として考える

2013-03-20 05:53

「あら、なんだか気になるわね～この商品・・・」

彼女は、あるチェーン店のスーパーバイザーです。
（ここでは、どういう商品を扱っている何というチェーンかは伏せておきますね）
その日、担当店舗を訪問したときに、ショーケースに並べられた商品を見て違和感を感じたのです。
彼女は、ショーケースの中の商品を手に取ってみました・・・・
予感は当たっていました。表面は綺麗に取り繕っていますが、裏側は崩れていたのです。

彼女は、すぐに全ての商品を確認し、その後店長を呼んでミーティングを始めました。

SV「ねえ店長。この商品どう思う？」
店長「あ！これはだめですね・・・すぐに担当者を指導します」
SV「ちょっとまって！問題は、これを作った人だけでは無いと思うの。もう少し深く考えてみて」
店長「え？」
SV「この商品を作った人だけが問題なのかしら？これを、ショーケースに並べた人は問題に気がつかなかったの？」
店長「いえ、、、まあ、たまたまじゃあ無いかと思うのですが・・・」
SV「本当にたまたまかしら？今回見逃していると言う事は、他の日や他の時間はどうなのかしら？」
店長「はあ・・・」
SV「誰か一人を追求して、それで終わりなんじゃなく。いついかなる時でも完璧な商品を提供出来るようにする。その為には、誰がミスを犯そうと関係ないのよ。常に全員で解決するのよ。」

そう言って、店長に全員のオペレーションの再確認を命じたのです。
どんな小さな問題点でも、その時だけの問題として捉えたら、再び別のところで同じ問題が出てくるものです。

しかし、だれが問題なのか？ではなく、店全体でもう一度見直そう！と言う空気をいつも持っていると、全員が完璧に出来るまでお互い見直そうという気持ちになります。
彼女は、今回の問題を見逃した店長に、こういう全体視点で店を見て欲しいという気持ちで指導をしたのです。

一週間後、同じ曜日の同じ時間に再び店舗を訪れたスーパーバイザーは、さりげなく、前回問題のあった商品を確認しました。今度は問題ありませんでした。
更に数日後、今度は別の曜日の別の時間に訪問し同じ商品を確認しました。
今度も問題はありませんでした。

スーパーバイザーという仕事は、店長とは違い複数店舗の管理や教育を任されます。
しかし、身体はひとつではありません。
総合司令室のモニターを見ながら仕事をするわけでもありません。
なので、優秀なスーパーバイザーは、問題点を見つけたとき、この問題は、担当店舗の全店で起こっているかも知れないと常に考えています。
今見えている目の前の問題点を見ながら、見えていない他の店舗のことを想像するのです。

スーパーバイザーがモグラたたきの仕事をしていても、その責任はまったく果たすことは出来ません。
担当店舗が10店舗ならば、10店舗同時に動かすつもりで行動しないといけないのです。

これは、店長も同じなのです。
店長は、月曜日の朝一番から日曜日の閉店まで、全ての商品を見て全ての接客を確認しているわけではありません。だから、目の前の問題点は、他のスタッフにもありうると考えないと、モグラたたき店長になってしまうのです。

ひとりが起こしうる問題は全員に可能性がある。
目の前の問題は、見ていないときも起こっている可能性が高いと考える。
ひとりを追求するのでは無く、常に全員を再確認する。

それが、結局は、リスクを最小限にしていくワザなのですね。

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