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第21回 復審請求 (第1回)
河野特許事務所 2013年3月12日 執筆者:弁理士 河野 英仁
(月刊ザ・ローヤーズ 2013年1月号掲載)
1.概要
特許出願が審査を経て審査官により拒絶査定(駁回決定)を受けた場合、特許出願人は、復審委員会に復審請求を行うことができる。本稿では復審請求の手続について解説する。
2.主体的要件
拒絶査定を受けた特許出願人が復審委員会に復審請求を行うことができる(専利法第41条)。共同出願の場合、全員で復審請求しなければならない。一部の出願人が復審請求を行った場合、補正命令がなされ、所定期間内に補正を行わない場合、復審請求は取り下げたものとみなされる。
3.時期的要件
拒絶査定を受けた日から3ヵ月以内に復審委員会に復審請求を行うことができる(専利法第41条)。復審請求期間内に復審請求を行わない場合、拒絶査定が確定する。なお、実施細則第6条に規定する不可抗力及びその他の事由に基づく権利回復請求が認められた場合はこの限りではない。
4.復審請求書の提出
復審請求人は復審請求書を提出し、復審請求の理由を説明する。また必要な場合は関連証拠を添付する。
5.形式審査及び前置審査
(1)形式審査
参考図1は復審請求の手続の流れを示すフローチャートである。復審請求書を提出した場合、形式審査が行われる。形式違反が存在する場合、補正命令がなされ、復審請求人は15日以内に補正しなければならない。形式違反が解消しない場合、復審請求は却下される。
(2)前置審査
復審請求時の補正の有無にかかわらず、元の審査を行った審査官による前置審査が行われる。(実施細則第63条)。日本と異なり、補正の有無にかかわらず審査を行った元の審査部門が再度審査を行う。
元の審査部門は、前置審査意見を提出し、前置審査意見書を作成しなければならない。特別な場合を除き、前置審査は案件ファイルを受け取った1ヶ月以内に完成しなければならない。
前置審査意見は以下の3つの類型に分けられる。
(i)復審請求が成立し、拒絶査定の取り消しに同意する。
(ii)復審請求人が提出した出願書類の補正書は、出願中に存在した欠陥を克服しており、補正文書に基づいた拒絶査定の取り消しに同意する。
(iii)復審請求人が陳述した意見及び補正書は、拒絶査定を取り消すに足るものでないため、拒絶査定を維持する。
元の審査部門は、その前置審査意見が前述した類型のどれに該当するかを説明する。ここで、拒絶査定を維持する場合、維持している各種拒絶理由及び個々の欠陥について見解を詳細に説明する。
復審請求人が補正書を提出した場合、元の審査部門は再度審査を行い、審査した結果、補正が新規事項追加等の要件に反しないと判断した場合、補正書を基礎にして前置審査を行う。元の審査部門は補正が新規事項追加等の要件に合致しないと判断した場合、拒絶査定を維持する。そして補正要件に合致しないとの見解を詳細に説明するとともに、拒絶査定の対象となる出願文書における各種拒絶理由に関連している欠陥を説明する。
復審請求人が新たな証拠を提出するか、若しくは新たな理由を陳述した場合、元の審査部門は当該証拠または理由を審査する。
前置審査において、拒絶査定の取り消しに同意する場合、復審委員会は合議審査を行うことなく、前置審査意見に基づいて復審決定を行う。復審決定は、復審請求人に通知され、元の審査部門は審査許可手続を進めることとなる。
参考図1 復審請求の手続の流れを示すフローチャート
(第2回へ続く)
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