服部 明美
ハットリ アケミグループ
職場の「リアル アムロ・レイ」と上手に付き合う方法
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人気アニメ『機動戦士ガンダム』のアムロ・レイは、甘ったれな少年として描かれています。
「親父にもぶたれたことないのにぃ!」
なんて、実際は、上司に向かってこんなこと言うヤツ、いないよね。
という前提があるから、笑えるのです。
しかし、最近はリアル アムロ・レイが増殖し、いつの間にか企業の中に棲みついています。
今どき、ブライトさんみたいな人はいないと思いますが、親にも叱られた経験がなくストレス耐性の低い若者を下手に叱咤激励するとショックを受け、傷ついてしまいます。
「パワハラを受けた」などと言ってメンタルクリニックを受診し、「うつ状態」の診断書を送りつけてきて休職してしまうこともあります。
「パワハラ」という言葉が便利に使われる世の中なんですね。
上司にしてみれば、「ふざけるな」とか、「やってらんね~」と言いたいところでしょう。
しかし、現実に起こっていることなので、アムロ・レイな若者にもしっかり対応しなければなりません。
山本五十六は言いました。
やってみせ 言って聞かせて させてみせ 褒めてやらねば 人は動かじ
また、お互いの垣根を取り払うために、積極的にコミュニケーションをとることも大事です。
月に1回、30分程度でいいので、部下と1対1で話を聴く機会を作ってみてください。
何を考え、どのような思いを抱えて職場に通ってきているのか。職場の人間関係はどうなのか。じっくり聴いて理解することから始めましょう。
その際、昔ながらの「ノミニケーション」ではなく、あくまでも業務上の「面談」として行うようにしてください。
そのためには、上司は聴き上手でなければいけません。
管理職研修に「傾聴訓練」を採り入れることをお勧めします。
傾聴では、指示的な言葉は言わず、相手の使った言葉をそのままの表現で伝え返します。
たとえば、
「昨日、同僚の態度にブチ切れて・・・」
「ほう、ブチ切れた」
という具合。
「頭にきたんだね」
と応答すると、ニュアンスが違ってしまうので、話し手はきちんと聴いてくれた(自分の気持ちを受け止めてくれた)と実感できません。
「ブチ切れた」のであって、「頭にきた」のとは気持ちの昂ぶり具合が違うのです。
「この上司はきちんと話を聴いてくれる」
という信頼が得られれば、部下は心を開いてなんでも相談してくれる雰囲気が出来上がります。
この信頼関係が、お互いの理解につながります。
反対に、指図や小言ばかりが目立つ、あるいは面談でも最後まで聞かずに割って入ったり
「要するに君が言いたいのはこういうことだね」
と先回りして結論を言ってしまったりすると、
「この上司は人の話を聴いてくれない」
と思われ、信頼してもらえなくなります。
結論を先回りして解釈した内容は、間違っていることが多いものです。
傾聴は、トレーニングしないと難しいものです。
傾聴訓練は、各都道府県にある産業保健推進センターで受けられます。
「メンタルヘルス対策講座」として開講していることもあります。
ぜひ一度、検討してみてください。
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