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< 民主党政権でこうなる - 個人生活編 >
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民主党は、子供手当などで可処分所得を高めることにより、内需拡大の創出を図る考えです。子供手当以外にも、多くの所得控除の見直しを掲げています。民主党のマニフェストおよび政策集から、生活に関連する“税金”等を中心に見ていきます。
また、必要に応じて連立政権を組むと思われる社民党のマニフェストも対比して見ていきます。
1.所得税改革
(配偶者控除、扶養控除)
所得税改革の基本的な考えとして、高所得者に有利な所得控除を整理し、税額控除や手当に切り替えることで格差拡大を食い止めるとしています。
具体的には、配偶者控除、扶養控除(高校生・大学生を対象とする特定扶養控除や老人扶養控除は含みません)を廃止し、子供手当として中学卒業まで子供一人あたり31万2千円(月2万6千円)支給します。ただし、子供手当は、親の所得と関係なく一定額支給するため、低所得者だけではなく年収800〜1000万円の世帯でも恩恵が大きいとされています。
子育て・教育については、助成金として、出産一時金が現行35万円から42万円に2009年10月より増額されますが、民主党案としてはさらに55万円までの引き上げを図っています。
なお社民党は、配偶者控除や扶養控除の見直しは行わず、児童手当(現行は小学生以下に対して月1万円または5千円)を組みかえ、子ども手当として18歳までの月1万円(第3子以降は月2万円)を支給するとしています。
(給与所得控除)
現行の給与所得控除は適用所得の上限はありませんが、今後上限を設けるとし、一方で、特定支出控除(給与所得控除額を超える通勤費、転居費用、教育訓練費等の特定支出を控除する制度)をより使いやすくするとしています。
なお、給与所得控除ではありませんが、高所得者層に対する課税強化という点では、社民党は所得税の最高税率を40%から50%戻すとしています。
(保険料控除)
保険料控除については、遺族・医療・介護・老後といった保険商品に対応した新しい保険料控除制度を創設した上で15万円程度に引き上げるとしています。
(住宅ローン減税)
住宅ローン減税は、自民党政権下で大きく拡充されましたが、民主党はバリアフリー化や省エネなど社会ニーズの高い分野に負担軽減策を講じるとともに、建て替えやリフォームに対して住宅ローン減税と同程度の投資減税制度を設けるとしています。
(年金課税)
公的年金等控除と老年者控除を平成16年以前の状態にするとしています。
公的年金等控除については、65歳以上の方の最低保障額を現行の120万円から140万円に引き上げるとともに、50万円を所得控除する老年者控除を復活させるとしています。社民党も老年者控除等を復活させるとしています。
(給付付き税額控除制度の導入)
高所得者に有利な所得控除を整理して、給付付き税額控除制度の導入を図るとしています。
具体的には、
(1) 現行の38万円の基礎控除にかわり、「低所得者に対する生活支援を行う給
付付き税額控除」
(2) 消費税の逆進性緩和対策に、基礎的な消費支出にかかる消費税相当額を
一律控除し、控除しきれない部分を給付する「給付付き 消費税額控除」
(3) 就労時間の伸びに合わせた「就労を促進する給付付き税額控除」
のいずれか、もしくは組み合わせの形で導入する、としています。
なお社民党は、基礎控除を現行の38万円から76万円に倍増する案や、「飲食料品にかかる消費税額戻し金制度」を導入し、飲食料品分は実質非課税にするとしています。
2.自動車関連諸税
自動車関連税は複数あるためわかりにくくなっており、簡素化を図るとともに、環境税化する方向です。
具体的には、ガソリン税、軽油引取税、自動車重量税、自動車取得税の暫定税率部分を廃止し減税を行います。
将来的には、ガソリン税、軽油引取税を「地球温暖化対策税(仮称)」とし、自動車重量税は自動車税に、自動車取得税は消費税との2重課税の点から廃止するとしています。
3.相続税・贈与税改革
現行の法定相続分課税方式から、各相続人が実際に相続した財産に対して個別に課税する遺産課税方式への転換を検討し、相続税の課税ベースや税率の見直しについては、中堅資産家層の育成に配慮しつつ検討するとしています。また、相続税の見直しに合わせて、贈与税のあり方も見直すとしています。
一方社民党は、相続税・贈与税を現行の50%から70%へ引き上げるとともに、課税ベースを広げるとしており、民主党のマニフェスト等とは隔たりがあるようです。