< 民主党政権でこうなる - 会社編 > - 会計・経理全般 - 専門家プロファイル

森公認会計士事務所 公認会計士・税理士
東京都
公認会計士・税理士
03-6722-0960
※お電話の際は「"プロファイル"を見た」とお伝え下さい。
専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

< 民主党政権でこうなる - 会社編 >

- good

  1. 法人・ビジネス
  2. 会計・経理
  3. 会計・経理全般
税金 政権交代!− 民主党政権のマニフェストを読み解く

2009年8月30日に第45回衆議院選挙が行われ、民主党の圧倒的な勝利に終わりました。政権交代後は、民主党のマニフェストや政策集に沿った政権運営が行われるものと思われますが、マニフェスト等を見ると、高速道路の無料化や、子供手当・出産支援、郵政事業の抜本的見直しといった目玉公約以外にも幅広い政策が掲げられています。
 今回は、民主党のマニフェスト等の中でも、“税金”、特に法人税・消費税改革に関するものや、中小企業向け施策を中心に焦点を当てて見てみたいと思います。また、連立政権を組むと思われる社民党のマニフェストについても、あわせて都度見ていきます。


1.法人税改革


 法人税改革として、中小企業の法人税率(所得金額800万円以下の部分)を現行の18%から11%に引き下げるとしています。一方、社民党は、法人税の基本税率を現行の30.0%から34.5%に引き上げ、中小企業の法人税率を11%とするとしています。

 欠損金の繰戻還付制度は、凍結を解除するとしています。この4月から中小企業については復活していますが、大企業も復活する可能性があります。

 いわゆる1人オーナー会社(特殊支配同族会社)の役員給与の損金不算入措置については、今後廃止するとしており、中小・零細企業の経営に大きな影響を与えそうです。

 租税特別措置法について抜本的改革を行うとしており、研究開発の促進のような必要なものは時限措置から恒久化を図る一方で、不必要なものは廃止の方向性が明確化されるよう、「租税特別措置法透明化法」を制定するとしております。なお社民党は、不公平な大企業の租税特別措置は大胆に縮小するとしています。


2.中小企業対策


 法人税以外の中小企業向け施策には、貸し渋り・貸し剥がし対策として、特別信用保証の復活や、セーフティーネット信用保証の対象業種の拡充、中小企業向け検査マニュアルで、利払いが行われている限りは不良債権には分類しないといった弾力化措置、地域金融円滑化法案の制定が挙げられています。
 その他にも、政府系金融機関の中小企業に対する融資については、個人保証の撤廃や、連帯保証人制度の廃止やあり方を見直すとしています。
 

3.起業・ベンチャー支援


 ベンチャー企業については「100万社企業」を目指し、中小ハイテク・ベンチャー企業への補助金制度やベンチャー企業の株式購入時に投資額の一定割合を税額控除できる制度の導入、エンジェルネットワーク(投資家同士が投資情報を交換・入手するためのネットワーク)の設立・運営の支援等をするとしています。


4.公開企業(株式市場)


 公開企業については、健全なガバナンスを担保するため、公開会社だけに適用される公開会社法を制定し、情報開示や会計監査を強化する方向です。

 また金融所得課税については、総合課税を目指すものの当分の間は分離課税とし、証券税制の軽減税率についても当面維持するとしています。ただし、社民党については、税率を20%に戻すとともに、譲渡益への累進性などにより課税の強化を図るとしています。

 全体的に、非公開・中小企業を支援する内容が目立っており、公開企業や株式市場を活性化するような施策は乏しいように思われます。


5.地球温暖化対策


 地球温暖化対策として、地球温暖化対策税を導入するとともに、有価証券報告書には、温室効果ガス排出量および地球温暖化に係るリスクと対策を記載するようにするとしています。
 社民党も、CO2の排出量に比例して課税する炭素税の導入を謳っています。


6.消費税改革


 消費税については、現行の税率5%を維持し、税率の引上げについては、社会保障目的税化や社会保障制度の抜本的改革が検討の前提としています。

 消費税が適正に納税されるように、インボイス制度(仕入税額控除の際に税額を明示した請求書等の保存を求める制度)を早急に導入するとしています。

 消費税引上げによる逆進性対策としては、消費税相当額を一律に税額控除し、控除しきれない部分について給付する「給付付き消費税額控除」の導入を図るとしています。

 社民党は、収入400万円以下の世帯には4万円、400万超〜1000万円以下の世帯には2万円を年1回支給する「飲食料品にかかる消費税額戻し金制度」を導入し、飲食料品分は実質非課税にするとしています。

インボイス制度が導入されると、中小企業にとっては事務負担が大きくなるものと予想されます。また、制度の動向により飲食料品を単純に非課税としていくと、これも大きな事務負担となると予想されます。



最後に 


 マニフェストや政策集からは具体的な内容までは十分明らかになっていませんし、実際に実現されるのか、また、いつのタイミングで実現されるのかまではわかりません。
しかしながら、マニフェストを俯瞰して見ていくと今後の流れが見えてきますし、自らのビジネスの方向性も示唆してくれると思います。

カテゴリ このコラムの執筆専門家

(東京都 / 公認会計士・税理士)
森公認会計士事務所 公認会計士・税理士

会社設立・創業融資をサポート

監査・税務・ビジネス、”3つのキャリア”で、約20年。 その間、いつも「決算書の数字の奥にあるものをみる!」感覚を研ぎ澄ましてきました。 だから・・・ベンチャーから上場企業まで、あなたの会社の、一番の社外サポーターに!

03-6722-0960
※お電話の際は「"プロファイル"を見た」とお伝え下さい。

カテゴリ 「税金」のコラム

このコラムに類似したコラム

「中小会計指針」各論~その4~ 山本 憲宏 - 公認会計士(2013/04/09 10:03)

IFRS適用に関する検討について(自見金融相談話) 平 仁 - 税理士(2011/06/30 15:18)

金額制限がある税法にはご注意を 高橋 昌也 - 税理士(2020/02/03 07:00)

納税者側に意見表明の機会はあまりない 高橋 昌也 - 税理士(2020/01/08 07:00)

賦課課税方式 高橋 昌也 - 税理士(2020/01/07 07:00)