- 森 滋昭
- 森公認会計士事務所 公認会計士・税理士
- 東京都
- 公認会計士・税理士
-
03-6722-0960
対象:税務・確定申告
- 平 仁
- (税理士)
民主党のマニフェストや政策集には、租税行政に係る大きな提案も含まれています。
”租税行政全般”といわれても、普段の生活にはあまり馴染みはないかもしれません。しかし、これから述べるマニフェストや政策集の内容どおりに実現されると、法人税や所得税などの個々の改革以上に、今後の“税金”の在り方、そして私たちと政府との関係をも変える可能性があります。
1.納税者権利憲章
納税者の権利を明確化するための「納税者権利憲章」を制定するとしています。
具体的には確定申告を原則とし、給与所得者には年末調整も選択可能とします。確定申告を選択する方が増えてくると納税者意識も高まり、政策(財政支出)に対する評価も変わってくる可能性もあります。例えばアメリカなどは、各個人が年度末に確定申告するために、政治への参加意識が高い、などとよく言われていますね。
また、課税庁からの増額更生(税務調査により税務署が正しい税額に増額すること)の期間制限が5年であるのに対し、納税者からの更正の請求(過大申告した税額を減額するための請求)の期間制限が1年とアンバランスになっていることから、期間制限の見直しを早急に図るとしています。
例えば、法的には、納税から1年後に見つかった単純な税額計算のミスですら、修正できなかったのですから、実務的には、大きな影響があります。
社民党も同様に、「納税者権利憲章」の制定、自主申告制度の採用、国税通則法の改正をマニフェストに掲げています。
2.国税不服審判所
国税不服審判所は納税者のための機関でありながら、重要な審判官を財務省・国税庁の出身者が占めていたり、証書書類の閲覧・謄写が認められてないなどの問題があることから、そのあり方も見直すとしています。
「1.納税者権利憲章」で見た、「納税者権利憲章」が制定され、期間制限(申告後の更正等の期間)の改正や国税不服審判所の見直しなどがなされると、納税者と課税庁がより対等な関係に変わってくる可能性があります。
3.歳入庁創設と納税者背番号制
社会保険庁を廃止して国税庁と統合して「歳入庁」を創設し、税と社会保険料を一体として徴収し、未納未加入をなくすとしています。
また、「給付付き消費税額控除」等の税額控除を導入するにあたって、不正還付・不正受給を防ぐためには所得の正確な把握が必要不可欠であり、納税と社会保障の給付に共通の番号制度を導入するとしています。いわゆる納税者背番号制については、社民党も的確な所得把握のために「公平番号制度」の早期導入を目指すとしています。
ただし各種報道では、歳入庁の創設について国税庁の方は、社会保険庁とは業務の内容が異なると反対しているようですね。
4.徴税の適正化
新規滞納や加算税の現状を是正するために、罰則の強化や重加算税の引き上げを行うとしています。
また、消費税の不正還付を防止するために、還付に係る調査機能の強化、企業活動の国際化への対応強化が謳われています。
社民党も「適正・公平な課税の実現と歳入の確保」のため国税職員の定員確保と処遇改善を図るとしています。
納税者の権利を確保していく一方で、今後大幅は財政支出が予想される状況下では、徴税の強化は当然に流れと考えられます。
また、最前線で働かれている税務職員の方にとっては、私たち納税者以上に大変な時代になりそうです。
このコラムの執筆専門家
- 森 滋昭
- (東京都 / 公認会計士・税理士)
- 森公認会計士事務所 公認会計士・税理士
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監査・税務・ビジネス、”3つのキャリア”で、約20年。 その間、いつも「決算書の数字の奥にあるものをみる!」感覚を研ぎ澄ましてきました。 だから・・・ベンチャーから上場企業まで、あなたの会社の、一番の社外サポーターに!
「税金」のコラム
< 民主党政権でこうなる - 個人生活編 >(2009/09/03 17:09)
< 民主党政権でこうなる - 会社編 >(2009/09/01 16:09)
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