大澤 眞知子(カナダ留学・クリティカルシンキング専門家)- コラム「カナダコロナ禍高校の現状-読み書き基本能力も学べない高校生」 - 専門家プロファイル

大澤 眞知子
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カナダコロナ禍高校の現状-読み書き基本能力も学べない高校生

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留学 大学・高校正規留学 2021-05-18 08:41

'Not only teachers, the students are just emotionally, physically, mentally exhausted.’

「教師だけではない。生徒はとにかく、感情も、身体も精神も疲れきっている。」

BC州高校教師の言葉です。

 

長引くパンデミックの中、生徒たちの将来長きに渡り、大きく足を引っ張るであろう教育の不在が不気味です。

CBCニュースが5月7日朝の記事で深刻に取り上げています。

 

その記事を要約しますが、これはここカナダで生まれ、英語で育ち、カナダの小・中等教育を受けた英語言語には不自由ない高校生の惨状です。

日本からの高校留学生のみなさん、また近い将来高校留学を予定しているみなさん(全くお勧めではないです)、あなたには、今のそしてこれからのカナダの高校教育の中に場所があると思いますか?

そこから得るものはあると思いますか?

それを親子で真剣に話し合ってみて下さい。

 

〈CBCよりの要約〉

 

夏休みまで後数週間という今、今学年のカリキュラムもほとんど終わることが出来ないまま、生徒たちの今後長期間に渡る将来への強烈な影響を心配する教育者たち。

先の見えないパンデミック禍教育のツケは想像を絶する規模で生徒たちの将来を壊してしまうかも。

長い将来に渡り、教育不在の後遺症は生徒たちについて回るだろう。

 

教育者たちが声を揃えて危惧すること。

「この先ずっと、失った教育に追いつけない生徒が多いだろう。」

 

9割以上の教師が、この「失った教育」は生徒への長期的悪影響があると回答。


「Covid-19以前でも、教えるべき内容すべてを消化するのは非常に困難であった。
そして、その困難さはCovid-19で10倍になった。」

(BC州サレー市の高校教師)

 

対面授業の負荷を抑えるため、高校は学年を細切れにする学期制を採用した。

例えば学年を4つの細切れにし(4学期制)一度に1科目か2科目に集中し、毎日同じ教科を何時間も学ぶシステム。

 

「普段なら何ヶ月にも渡り、時間をかけて教えられ、生徒の考える時間もあり、学ぶべきことをすべて頭に入れるはずの授業が、たった22日間に凝縮された。

何の復習も熟考もないまま一日に3時間半も同じ科目・膨大な量の学習量。

教師も生徒も疲れ果てている。

 

考えてみてくれよ。 数学の基本さえ理解せずに22日後にはいきなり微分積分のクラスが始まるんだ。

そんな生徒はどこにもたどり着けない。」

 

「読み書きの基本能力さえない高校生がたくさんいる。」(BC州数学教師)

 

英語のReading/Writing、クリティカルシンキングについても深刻さは同等です。

クリティカルシンキングを使い分析するReadingスキルも十分でないうちにEN10からEN11。

そこでも付け焼き刃で何か書いて提出するだけ。 継ぎ接ぎだらけのアサインメントを出すだけ。

 

大学に必須、いや、社会に出ても必須の読み書き能力にも不自由するカナダの生徒が続出しているそうです。

日本人留学生の置き去りにされた学力のことは考えるだけで怖いです。

 

前述の通り、これはカナダ現地の英語母国語の高校生についてのコメントです。英語力のない留学生の場合は、カナダに行ってからもほぼ読み書き能力に進歩はないと推察出来ます。実際にこちらの高校留学生の英語力は、パンデミック前で完全に止まったままです。

 

'They don't have the fundamental skills'

「読み書きの基本能力のない生徒がたくさん出ている。」

教師の必死の訴えかけです。

 

「学校のEnglish授業では何をやったの?」と留学生に聞くと、とりあえず従来のカリキュラムから拾った適当なアサインメントが出ているだけ。

 

教師のコメントでも

「今は、教えるべき内容を削減するよう強要され、すべての指導は加速度をあげてスピードアップしないとこの8学期制には追いつかない。本当に必要な基本スキル・知識さえ学んでいない生徒がだんだん増えている。正に「教育崩壊」が広がっている。」

 

特に心配されているのが、基本知識・スキルの欠落です。 

He's particularly concerned about the impact on academic skills such as reading and comprehending vocabulary, expressing ideas in writing and using math to solve problems. These skills need continuous practise to develop, he said. 

「社会に出ても必須のアカデミックスキルであるreading and comprehending vocabulary, expressing ideas in writing and using math to solve problemsがない生徒が今後少なくとも5〜6年に渡り出てくるだろう。

そのくらいこのパンデミックの衝撃は大きい。」

 

英語でのReadingは日本の英語教育のようにただ単に読んで訳すことではありませんよ。

内容をクリティカルシンキング思考法で理解し分析し、自分のこれまでの経験・観察と合わせて考え、Writingとして発信する能力です。

また語彙を理解するとは、日本のようにただ丸暗記することではありません。

同意語の非常に多い英語言語の中、それぞれの語彙をいかに正しく文脈で理解し、自分で運用出来るかのスキルです。 

日本からその能力も殆どないまま留学してしまった高校生は、カナダでも何も学ぶことなく高校教育を失っているのが現状です。

 

自分の考えを発信するWritingでは、Grade10からはかなり高いクリティカルシンキング思考法の訓練が必要です。

Grade9までのWriting訓練が十分出来ていない生徒がGrade10に上がっても、Grade8までのスキルでは通用しません。

落ちこぼれるか、パンデミック禍の適当な評価で何となくパスしても、全く能力のないまま卒業を迎えることになります。

そんな現地高校生が日増しに増えているカナダです。

 

その後の顛末は、おわかりですよね。

大学進学など夢のまた夢。 どこかの大学に拾われたとしても1年目で脱落も大いに有り得る結果です。

 

パンデミック前でもすでにカナダの大学の落伍率の高さは有名でした。(Toronto Star)

”And about one in six students never complete their studies.”

新大学生の6人に1人は脱落して行きます。 コロナ禍では更にもっと状況は暗いです。 

この運命にまっしぐらの高校生が日々増えていると思います。

 

Grade12の高校生からも

「大学で必要な基本知識・スキルのないまま卒業してしまう。とにかく膨大な宿題は出されるが、学んでいるとは思えない。必要なことが学べなかった高校が今後の人生に及ぼす衝撃が怖い。そのため精神不安定となる生徒がたくさんいある。」

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危機的なカナダの高校教育の惨状です。

 

なぜ今高校留学なのか?

高校教育を完全に失ってしまいます。

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