大澤 眞知子(カナダ留学・クリティカルシンキング専門家)- コラム「カナダ休校中オンライン授業で失う伸びるはずの能力」 - 専門家プロファイル

大澤 眞知子
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カナダ休校中オンライン授業で失う伸びるはずの能力

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留学 大学・高校正規留学 2020-04-17 09:32

 カナダの学校からは取りあえずオンライン授業なるものが始まりました。

各スクールボード、学校、教師により形式は天と地ほどの差がありますが、何とか表面は出来たみたいです。

 

一時帰国中の高校留学生にも担当教師からの連絡が届き、サイトにログインしたり、単にメールで課題の指示をもらったりしていると思います。

もしかして、この進展だけで「やっぱり高校留学は大丈夫。うちの子はまたカナダに戻り、卒業が出来、大学にも行ける。」な〜んて、甘い夢の中に入ってしまった親も多いような気がしています。

 

「高校留学の実態」に衝撃を受けながらも「まぁ、うちの子は大丈夫」とSelf-fulfilling Prophecy (自分に都合のいい情報だけで結論を出すー心理学の用語)に陥った時と同じ心理状態なのかとも思えています。

 

特に「高校留学の実態」から目をそらし、エージェントの大嘘をそのまま真に受け、大切な子供を留学させてしまった親のみなさん。

また、自分の教育方針に自信を持ち(いいことではありますが)、自分の考え以外は受け入れることが出来ないまま崩壊寸前の高校留学の中に子供を送り出してしまった親のみなさん。

 

こんな現実がNew York Timesに報道されています。

大事な子供を守るために、現実を直視し、賢明・客観的な判断が出来ますよう、解説しておきます。

(アメリカからの情報ですが、カナダにも全く同じことが当てはまります。)

 

各スクールボード管轄下の生徒の成績を調べているThe Northwest Evaluation Associationの研究によると:

 

コロナウイルスによる学校休校により、対面での指導機会を失った生徒たちは、通常の学年時に比べ、例えば読解能力ではたった70%しか伸びないと算出されている。

 

このProject(算出)はCovid Slideと呼ばれ、特に数学分野でも遅れは更に深刻。

通常の学年時に伸びると予想される能力の約半分を失ってしまうだろう。

 

今後もパンデミックは再来することは間違いなく、長期に渡る学校休校に備え、質の高いオンライン指導が行えるようなブループリントが喫緊の課題。

 

本当に質の高いVirtual Educationとは、全く新しい指導であり、カリキュラムもオンライン向けに特別にデザインする必要がある。

しかし、今回の非常措置で取り繕って行われているいわゆる「オンライン授業」は、準備の全くないスクールボードで慌ててプランされ、対面指導の技量しかない教師たちが手探りで実施しているだけ。

 

結果、現在の学校休校によるオンライン授業は授業といえるものではなく、生徒の学力が上がると考えるのは到底不可能。

 

その結果、長く続く休校の影響は生徒の能力には計り知れないほどのマイナスとなるだろう。

歴史的に見ても、長期の休校によるマイナス影響は、生徒の能力を損ない、その後の大学教育での成功にも大きな影を落とすことがわかっている。

 

コロナウイルス下の休校を心配する親たちも、このような歴史的データを知り、今回の長期休校(オンライン授業があろうがなかろうが大して違いはない)が自分の子供の学力発達を止める可能性を含んでいることを知るべきだ。

本来伸びるはずだったにも関わらず、つけ刃のオンライン授業は役にも立たず、伸びる機会を失った能力はおそらく一生大きなマイナスとなる可能性があることも、親は認識してほしい。

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何度もコラムに書いておりますが、BC州教育大臣も同じことを言っています。

「オンライン授業の質とレベルは低く、次のレベルに生徒を押し上げるものではない。 大学進学・卒業を目指す高校生は、今回全員に提供されているオンライン授業だけでなく、個々にFormal Learning Onlineコースを受講し、能力を上げることが必要」

 

カナダの各スクールボードの留学プログラムからのお知らせにも同じことが書かれています。

 

「お断りしておきますが、オンラインのレベルは高くありません。」

「今回のオンライン授業を授業とみなさないで下さい。 これは単に教師と生徒とをつなぐ媒体でと考えて下さい。」

などなど。

 

学校休校が長引く子供たちのWell-being(身体的・精神的・社会的な健康)が心配です。

自国で親の家で休校に耐えているカナダの高校生たちでも、現在相当の心理的負担が問題になっています。

それを支えるべく、オンライン授業と称し、カナダの教師たちは親・生徒と3者をつなぐために働いているのが現状です。

 

高校留学がいかにもろく、カナダ社会に居場所のないものなのかがここでも姿を見せ始めています。

高校留学生は枠外。 そんな現在の状況です。

 

精神的に行き詰まった高校留学生、そして親のみなさんへ。

ご相談は随時受けておりますので、詳細を含めご連絡下さい。

 

日本の高校に復帰することを決めた方は賢明な選択だと応援させていただきます。

どうしてもカナダを諦め切れないという方には、果たしてそれが現実的な選択しなのかを、ご一緒に考えることに致しましょう。

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