大澤 眞知子
オオサワ マチコグループ
クリティカルシンキングに逆行するCancel Culture
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“Cancel”という現象が特に10代、20代の若者の間で起こっています。
友達でも、クラスメートでも、SNSでのつながりでも「自分の気にいらない意見を言う」人物を完全に仲間から排除し、無視し、SNSネットワークから追放し、実際の場面でもネット上でも徹底的につまはじきにすることらしいです。
それが”Cancel”。
その傾向が”Cancel Culture”と呼ばれています。
な〜んだ。
この種のいじめははるか昔からありますよね。
遺伝子に組み込まれた、人間の「我が身を守る」ための行動。
正に、愚かな人間の歴史を彩っているようです。
ネット上でのつながりがなぜか重要視され、知らない人の意見も常にリアルタイムで入ってくるし、SNS上の有名人の発言もまるで友達のようにすぐに読んだり聞いたり出来る今。
昔ながらの「いじめ」がただ名前を”Cancel”に変えただけに見えてしまいます。
でも、SNSやインターネットでまるで悪漢をやっつけるゲームのように行われる”cancel culture”には、折角進化を続けてきた人類の脳が、実は退化しているのではないかとの危惧を感じます。
異なる意見を述べた1人をネット上で袋叩きにし、実際の社会でもつまはじきする非常に子供じみた行動です。
インターネット上の仮想空間内に隠れ、ある人物を意見が気に食わないという理由だけでみんなでボイコット。(New York Times)
その反応を見て満足し、自分が何か権力を得た気分になり、また次の獲物を狙うことが中毒症状のようになり、次々に誰かを被害者にする風潮にはおぞましいものを感じます。
トランプの「権力を使い自分意外すべてを憎悪する」姿勢が、アメリカ・カナダの若者の中に入り込んだのかも知れません。
クリティカルシンキングが全く理解出来ないトランプと同じレベルまで、若者の脳が下がって来ている気分です。
心理学専門家はこう述べています。
「異なる意見を頭から排除してしまうと、人類の進化に必須である様々な問題を議論する機会がなくなり、人類が前に進めなくなる。Cancelすることで得られる権力願望は単なる妄想でしかなく、後には、失ったものに気づき愕然とする。 自分は何も良いことをしたわけでもなく、自分の大事な問題を避けて通ってきただけだと気がつく。」
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ここで、クリティカルシンキングからの大切なメッセージ。
クリティカルシンキングを基にすると「誰にでも意見を自由を持つ権利があるというのは間違い。」
論理的思考法の説明では必ず出てくることです。
「意見」は、必ず正しい情報と証拠に基づくことが必須。
自分の意見を説明するための情報が、いかに信憑性があるかと判断するための大切な道具がクリティカルシンキング。
他の人の意見に反対する場合も、同じ。
反論には正しい情報と証拠が必要。
そうでない反論は、単に感情的に否定しているだけ。
駄々っ子のように「あいつの意見は好かん!」と封じ込める風潮は、完全に人間の歴史を逆戻り。
その感情的駄々っ子ドタバタが正に”Cancel Culture”だと感じます。
混沌とする現在の世界。
そこには、クリティカルシンキングが危機的に必要ですね。
特に将来を担う子どもたちには、絶対身につけてほしい、生き残るためのスキルです。
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