荒川 雄一
アラカワ ユウイチ「国民年金の納付率 その実態は!?」
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こんにちは!
さて、先般、厚生労働省が2013年度の国民年金保険料の納付率を発表しました。それによると前年度より1.9%改善し、60.9%と6割台に回復したとのことです。
要因としては、雇用の改善や所得増加に加え、未納者への督促を強化したためとみられています。
地域別に納付率をみると、最も高かったのが島根県の73.35%に対し、最も低かったのは沖縄県の41.70%と、地域によるバラツキが大きくなっています。
また、年齢別では25歳から29歳が49.9%と低いのに対し、55歳から59歳が73.1%と最も高くなっています。
公的年金への不信感が強まる若年層に対し、年金受給が近く、経済的余裕が出てくる中高年層との差が大きく表れているといえます。
しかしながら、実は、保険料納付率が6割を回復したと喜んでばかりもいられないのです。
というのも、“実質的な納付率”は40%程度しかないからです。
厚労省が年金保険料の納付率を算出する際には、低所得などを理由に納付免除や猶予が認められた人を対象から外しているからです。
2013年度の免除者のうち、体が不自由な人や生活保護を受けている人が134万人、低所得で免除を受けている人が249万人、そして学生など若年層で猶予を受けた人が222万人もいるのです。
実際には、未納者への督促強化だけではなく、所得の低い人には保険料の納付免除の申請をしてもらうことによって、納付義務者の対象母数を減らし、表面上、数値が改善したように見せている面があるのです。
6割自体も決して高い納付率とは言えませんが、実質4割となると、老後に年金をもらえない人が増加することが十分想定されます。
このことは、本人にとってはもちろん重大な問題ではありますが、生活保護の受給者が増えることによって、最終的には国民負担が増加することにつながります。
そろそろ、本腰を入れて、「公的年金の仕組み」自体を見直す時期が来ているといえるでしょう。
何はともわれ、まずは、“自分年金作り”にしっかりと取り組みたいですね。
それでは、今週も平和で穏やかな日々となりますように!
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