対象:住宅設計・構造
当方、地上3階+地下室の建築プランを考えています。
第一種低住なので、斜線が厳しいため半地下方式ではなく、ドライエリアを設けてほとんど地上面にでないような地下室設置を考えています。
(しかも子世帯の寝室等としてフルに活用することを想定しています。)
地上部分の構造は未定ですが、基本的にはRCか鉄骨(軽量又は重量)を考えています。
いずれの構造にしても地下室はRC造になると思われますが、その場合の断熱工法はどのようになるか、どのHMも地下室についてはほとんど説明がなくよくわかりません。
<質問1>
RCは外断熱がよいとの説明を多々見受けますが、地下室も外断熱は可能なのでしょうか?
その場合、断熱材が地中に埋まっていて、将来メンテナンス可能なのでしょうか?
<質問2>
地上部もRCとする場合、地下室と断熱方法が違う場合(地下:外、地上:内など)は、いわゆる熱橋が生じるように思われますが、ある会社ではそれが標準仕様とのことです。
このような食い違いは大丈夫なのでしょうか?
<質問3>
地下室RCに限り内外の両断熱にする意味はあるでしょうか?
<質問4>
ビルの地下室は万が一の水漏れに備えて二重壁にするのが原則とのことですが、住宅でもみんなそうしているのでしょうか?
居室有効面積が小さくなってしまいますし、地下ピットも必要になるでしょうし大変なような気がします。
二重壁や地下ピットを用いない地下室はどのような水漏れ対策をしているのでしょうか?
宜しくお願いいたします。
(なお、一般住宅の地下室について詳しく説明されているサイト等があれば教えていただけると幸いです。)
すくあーろさん ( 東京都 / 男性 / 37歳 )
回答:2件
森岡 篤
建築家
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地下で最も注意すべきなのは防水
すくあーろさんこんにちは
パルティータ建築工房の森岡と申します。
RC外断熱の利点は、大きく次の3点です。
・外側からスッポリ覆うので、内断熱と比べ、断熱が連続しやすい。
・コンクリートが蓄熱体であることから、温度変化の少ない快適環境
・躯体を外部環境からスッポリ覆うので、躯体の長寿命化
当事務所では、RC建物は、原則外断熱(地上部)で考えています。
断熱方法は、外部仕上に影響し、タイル仕上の多い日本の建物は、圧倒的に内断熱が多いです。
地下の外断熱ですが、後半の防水の工法と関連するのですが、防水性能の高い、山留壁を型枠として地下躯体を打設する方法では、地下外断熱施工は難しいです。
山留壁が平滑でなく、断熱材がしっかり止められず、躯体に入ってしまう恐れがあり、しかもチェックができないからです。
地下では、土の断熱性能と地中温度を考慮する必要があります。
土の断熱性能は、土の種類によりますが、概略スタイロフォームの1/20位です。
小さい値のように見えますが、地下の回りはずっと土なので、1mの厚みを断熱に有効と考えても、スタイロフォーム5cmに相当します。
土はそこそこ断熱性能があるのです。
さらに、深さ2m位で、季節・気温に余り左右されない温度分布となります。
つまり、地下は、断熱がないとしても、温度変化の少ない環境なのです(体感的にも)。
地下の地表に近い部分の断熱を補強する意味で、地上が外断熱でも、地下は内断熱で良いと思います。
補足
住宅の地下で注意が必要なのは、防水です。
地盤の水位が低い所でも、大雨が降ると一時的に地表近くまで上がります。
この時、水を全く漏らさないのは、プールに水を漏らさないのと同じような防水が必要で、地下防水はとても難しいのです。
地下をきちんと防水するためには、外側を防水する必要があります。
内防水は効果ありません。
ビルでは、大きな基礎梁が必要なため、上下にコンクリート床の2重床(地下ピット)とします。
住宅では2重床は必要ありませんが、構造形状に応じ、万一水が入った場合、水を排出するしくみが必要です。
このような住宅では、木造しか経験のない所でなく、RC系のしっかりした知識を持つ設計事務所に相談されることをお勧めします。
施工会社も、木造しか知らない工務店では、現場監理に苦労します。
設計も監理も、RCのノウハウが必要です。
住宅での地下のさまざまな問題点について、当事務所でサイト作成計画していますので、しばらくお待ち下さい。
詳しいことは、お気軽にお問い合わせ下さい。
当事務所メールアドレス:keeper@partita.jp
参考にしていただけたら幸です。
パルティータ建築工房サイトはこちら
東京都中野区の建築設計事務所 注文住宅/二世帯住宅/リフォーム
住宅の疑問にこたえる、「住宅こたえるね!ット」はこちら
中村 雅子
建築家
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RC地下の断熱方法など
こんにちは。タジェールの中村です。
頂きましたご質問に近作でお答えします。
1)''地下でも外断熱は可能です。''
事例
山留(ヤマドメ)といって、
土を鋼材と木の板で押さえたところに
''断熱材(ポリスチレンフォーム)を設置し、''
''その上に防水層をつくります。''
躯体の外側ですからメンテナンスは不要と考えます。
2)地上が内断熱・地下が外断熱であるのなら
熱橋ができないように ''各々を50cmくらい重ねる''ことです。
3)地下RC躯体に断熱材を設置する理由の多くは
''コンクリート中の水分による湿気軽減のため''かと思います。
最初の10年くらいはコンクリート水分が蒸発しますので。
4)最近は2重壁に代わって便利な物が
使われています。
ドレイナー・パネル
であれば、''地下の湧水の為の壁と''
''断熱の2重の役割を薄い厚みで設置できます。''
*地下に2重壁を用いない場合は
''躯体防水''といってメーカーの責任施工で
コンクリート自体に防水性能を持たせる方法もあります。
タケイ防水などが10年保証も出て信頼できます。
地下室の設計
ご参考まで。
タジェール 中村 雅子
(現在のポイント:-pt)
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