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後藤 義弘
社会保険労務士
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「同意」が必要でしょう
iga-2007さん、こんにちは
会社の「取締役」といっても
(1) 従業員 としての ''給与'' をとる
(2) 役員 としての ''報酬'' をとる
という2つの身分を同時に有するケースが考えられます。 この場合
(1) 労働契約 【労働基準法】
(2) 委任契約 【民法】 【会社法】
と2つの契約形態が併存するかたちになり、それぞれ【 】 内の法律の規制を受けることになります。 さらに(2)については、損金算入という会計上の観点から 【法人税法】 上の制約も併せて考慮する必要があります。
このように会社という舞台で事業活動を行っていく際に、ひとつの行為が必ずしも一法律のみに支配されるとは限らず、上のように複数の法律が交錯するシーンが出てくるため、事案に応じ立ち位置を変えた視点を持つ必要があります。
ここで、ご質問の役員任期途中の報酬の一方的減額が可能かという点ですが、誌面の制約上役員としての純然たる報酬である(2)に焦点をあて(ここでは「役員賞与」が含まれていないという前提で)みていきましょう。
''会社法'' では、役員報酬の額は「株主総会」(委員会設置会社は「報酬委員会」)で決めることになっていますが、その額の変更について直接規定する条項は見当たりません。 しかしながら、株主総会での任期中の取締役の解任も可能であることから、任期途中であっても本人の同意なく減額することができるとの解釈も可能のように思われます。
一方 ''最高裁判例'' では、こうした会社法からのアプローチをとらず、会社と取締役との個別の契約(約束事)としての報酬額の合意が会社と取締役との委任契約の内容として拘束力を持つという視点、つまり ''最初に決めた報酬額を役員任期中に本人の同意なく一方的に減額することを許さない'' としています。
(追記に続く)
補足
この最高裁の考え方をとれば、例えば役員の任期が10年とした場合、その間の経営上の必要性(経営悪化等)や取締役の役職に変更があっても本人の同意がなければ減額できないこととなり、事業運営上柔軟性を欠くという問題が残ります。 しかしやはりここは、不用な紛争を避けるためにも最高裁判例の立場を重視し、契約にて
・ 役職と報酬の不相当
・ 役職変更
・ 業績悪化
など一定の任期中の報酬減額の可能性を明記し、就任時に明確な ''同意'' を取っておく契約法務上の対応が必要でしょう。
また、役員報酬については役員それぞれの額を最初に決めてしまわず、総額(限度額)のみを総会で決議しておき、具体的な配分方法を取締役会(あるいは株主総会)で決める方法をとる会社も少なくありません。 もちろん貴社の事情や事業計画、報酬方針にもよりますが、先行きが不透明な立上げ直後についてはこうした総額方式を利用し、長い任期の設定も避けるなど収益環境に応じ柔軟な対応がとれるような運営も必要かもしれません。
【関連コラム】
''1. 任期途中の役員報酬減額 〜「労働法」からのアプローチ〜''
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''2. 任期途中の役員報酬減額 〜「法人税法」からのアプローチ〜''
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