対象:経営コンサルティング
4億ほどの売り上げを行っている加工業です。3部門ほどの事業部があり、2部門の事業を停止いたします。
その際に社内的に対応しなければならないことを整理したいのですが、具体的なことを漏れがあったら困るので、ご教授いただけませんでしょうか。リースの件、保険の件、社用車の処分などなどです。社員の対応、得意先様、仕入先様に対しての対応は行っていますので、問題ないです。
荒川徹さん ( 京都府 / 男性 / 56歳 )
回答:1件
事業停止の際に社内で対応すべき事項についてお答えします
荒川様、事業の縮小にあたり、すでに社員対応や取引先との連携が進んでいるとのこと、適切な進捗を踏んでいらっしゃる点は非常に素晴らしいです。今後の手続きや検討が必要な点について、ご説明いたします。
1. リース契約:解約リスクの最小化と再利用の可能性
リース契約に関して、一般的な確認だけでなく、実際の解約の際に想定されるリスクを最小化するための具体的な方法をご紹介します。
リース契約の転用・譲渡の検討: リース車両や機器の中には、事業停止部門で不要になったものを他の部門で活用できるケースも考えられます。また、もし他部門で利用が難しい場合でも、リース会社や同業他社にリース契約を譲渡できるかどうか交渉する価値があります。特にIT機器や高価な工作機械など、他社にとっても有用な機材であれば、譲渡条件を柔軟に交渉できるかもしれません。
中途解約条項の詳細確認: 特に中途解約時に発生する違約金や残存期間に対する支払いの条件を再確認し、最もコストを抑えられるタイミングでの解約を戦略的に計画しましょう。ペナルティを最小化するためには、他のリース契約との統合交渉や、一括清算による割引交渉なども視野に入れるべきです。
2. 保険契約:最適化と適切なリスクカバー
保険契約の解約・見直しに関しても、単なる解約ではなく、残存事業にとってのリスクカバーの再評価と費用削減の両立が重要です。
リスクアセスメントの再実施: 事業の縮小に伴い、新たなリスクが発生する可能性もあります。例えば、残る部門の従業員数や設備規模が減少することで、一部のリスクに対して過剰に保険がかかっている場合があります。保険会社と連携し、残存事業部門に最適な保険プランを再設計することが重要です。場合によっては、複数の保険契約を統合し、全体的な保険料を削減することも可能です。
解約返戻金の確認: もし長期契約の保険に加入している場合、解約時に返戻金が発生することがあります。これを有効に活用し、事業再構築に充てる資金源として計画に組み込むことができます。特に団体保険や大型設備の保険は、返戻金が高額になるケースもありますので、必ず確認しましょう。
3. 社用車:経済的処分と活用の工夫
社用車に関しても、処分の手順だけでなく、より経済的な視点でのアプローチを検討します。
オークションや専門業者への売却: 一般的な中古車ディーラーに売却するのではなく、業者専用オークションに参加することや、社用車専門の買取業者を利用することで、より高額で売却できる可能性があります。また、数台まとめて売却することでボリュームディスカウントを受けることも可能です。
法人リース残存車両の転用: 他の部門で使用する予定がない場合でも、例えばリース終了間近の車両に関しては、リース満了までの短期間を他用途で転用することも考えられます。これにより、不要な早期解約によるペナルティを回避できます。
4. 固定資産:売却戦略と最適化
固定資産の売却に関しても、単なる処分ではなく、より戦略的に最適な方法を選びます。
競争入札方式の活用: もし売却する機材や設備が市場価値の高いものであれば、複数の業者による競争入札を導入することで、最良の条件での売却が可能になります。特に、大型設備や専門性の高い機器に関しては、一般的な中古市場だけでなく、業界特化型のオークションや業界内ネットワークを活用することがポイントです。
償却資産の税務最適化: 固定資産の売却に伴い、税務上の減価償却の扱いや損益計算にも影響が出るため、税理士と密に連携し、税務的に有利なタイミングで売却を行うことも検討すべきです。資産売却による収益が一時的に大きく出る場合、適切な税務処理を行わなければ、思わぬ税負担が発生するリスクがあります。
5. 法務的な対応:適法かつ円滑な事業縮小
法務的な手続きに関しては、商業登記や各種届出だけでなく、法的な紛争リスクの回避や適正な労働関係の整理が求められます。
労働基準法・労働契約法の遵守: すでに社員対応は進んでいるとのことですが、特に退職者が発生する場合、労働基準法(第20条など)に基づく適正な解雇手続きや、退職金規程に準じた対応が必要です。また、労働契約法における就業規則の変更や従業員との合意形成が不十分だと、後に訴訟リスクが生じることがあります。
法的アドバイザーとの連携: 法律上の手続きが複雑な場合、企業法務に精通した弁護士と連携し、事業縮小に伴う法的手続きを円滑に進めることが望ましいです。また、特に商業登記の変更に関しては、変更登記が遅れることで罰則が発生することもあるため、速やかな手続きが重要です。
6. ITシステム・契約の最適化:不要コストの削減と効率化
ITシステムやソフトウェア契約の整理も重要ですが、解約だけでなく、コスト削減や業務効率化に繋がる戦略的アプローチを提案します。
クラウド移行やサブスクリプション型サービスの活用: 停止する事業部で使用していたオンプレミスのシステムがあれば、これをクラウドベースのサブスクリプションサービスに切り替えることで、不要な機器のメンテナンスコストやサポート費用を削減できます。また、ITリソースを他部門に再分配し、より効率的な運用を目指すことが可能です。
ソフトウェアライセンスの再交渉: 使用するライセンスの数が大幅に減少する場合、ライセンス契約の再交渉を行い、長期的なコスト削減を目指すことが可能です。特に大規模なソフトウェアベンダーとの契約では、ダウンサイジングに伴う割引や条件変更の余地があるかもしれません。
7. その他運営コストの見直し:無駄の排除とスマート化
事業縮小に伴う細かい運営コストにも目を向け、無駄な出費を徹底的に見直します。
施設管理コストの最適化: 停止する事業部のオフィススペースや工場の維持コストも見直す必要があります。可能であれば、一部スペースの賃貸やシェアオフィス化を検討し、資産を有効活用することで固定費を軽減できます。
サプライチェーンの効率化: サプライチェーンにおける契約や外部委託も見直し、縮小する需要に合わせた柔軟な契約に切り替えることで、運営コストをスリム化することが可能です。
最後に、京都府で事業縮小に関して相談できる相談先をいくつかご紹介します。
1. 京都府よろず支援拠点(https://kyoto-yorozu.jp/)
中小企業・小規模事業者のために国が設置した無料の経営相談窓口です。
2. 中小企業基盤整備機構 近畿本部
(https://www.smrj.go.jp/regional_hq/kinki/sme/index.html)
中小企業の経営に関するさまざまな課題や悩みに、各分野の専門家が無料で何度でも相談に応じます。
荒川様、事業縮小は大きな転機であり、同時に未来への再出発の一歩でもあります。事業の整理と再構築を徹底的に行うことで、今後の持続可能な成長に繋げるチャンスが広がることを願っています。しっかりと準備を進めることで、次なるステージへの一歩を自信を持って踏み出していただけるよう、心から応援しています!
回答専門家
- 小松 和弘
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ホットネット株式会社 代表取締役
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