対象:独立開業
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後藤 義弘
社会保険労務士
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ご質問ありがとうございます
私のほうからは職務発明にかかわる特許に関し会社と発明者(従業員)との権利関係について一般論でのお話にとどまりますが、具体的にはその分野の専門家である「弁理士」さんや「弁護士」さんのカテゴリーでより専門的なアドバイスを求められたほうがよいでしょう。
まずお話にあるような職務上の発明(職務発明) は法的にその権利は ''発明者となる従業員に帰属する'' 考え方をとります。
とは言うものの、会社もその発明に対し相当の研究開発費等を投じている事情もあるわけで、会社側の利益も当然考慮されるべきとの考えも出てきます。
実際、お話のとおり会社と発明者(従業員)との間で PIA07 さんのように特許を用いたビジネスで得た利益の調整がしばしば問題となり、発明者である従業員側から自らの発明に対するロイヤリティを請求する訴訟が提起され、昨今その額も億単位と高額化傾向にあり、会社を舞台にした職務上の会社と従業員の知的財産の権利調整問題がクローズアップされています。
基本的に会社において従業員の職務上の発明により特許を取得した場合、発明者である従業員に権利が帰属しますが、会社がその ''特許権の譲渡を受けることを事前に予約する(予約承継)'' ことが会社側の権利として認められています。 また、''専用実施権'' といって、その特許を会社がビジネスとして独占的に使用することができる権利も併せて設定することができます。 [特許法35条/同 77条]
しかしここで注意が必要なのは、会社がこの
''権利をタダで取得することはできない''
点です。 会社と従業員それぞれの利益を調和させるために、それなりの「対価」を支払わなければなりません。
例えば就業規則などの会社規定でその「対価」に関し「合意」していた場合、裁判所はその額が
(1) ''合理的'' な金額であればその合意を尊重する
[規定の額を支払えば○
補足
(2) ''不合理'' な金額であれば発明者側に相当の対価の請求を認める
[従業員から ''不足額を請求'' される]
という立場に立っています。
【関連判例】 オリンパス光学事件最高裁判決 平成15年4月22日
したがってリスクマネジメントの観点から実務上のポイントは、従業員側に帰属する ''特許権の事前の譲渡の予約(承継)'' と、これに対応する ''「対価」を就業規則などの会社規定で定めておく'' こと、またその額が上のとおり ''合理的'' なものであることが必要です。 そして対価設定の際の従業員に対する ''説明義務'' や ''意見聴取'' など手続き上の要件もクリアすべきことにも留意が必要です。
ではその合理的な対価の額をどのように設定すべきか?についてはビジネス事情と特許に応じた個別の問題となるので、冒頭にお話したとおりその分野の専門家である「弁理士」さんや「弁護士」さんに相談され対応されることをお勧めします。
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