対象:法律手続き・書類作成
現在刑務所入所中の兄弟がいます
父の死亡により相続が発生し、分割協議書作成に本人の実印と印鑑証明が必要なのですが入所中のため印鑑証明を入手することができません
本人の印鑑は登録済なのは確認できてますが一緒に暮らしていなかったため印鑑登録カードと実印がどこに保管されているのか分からず印鑑証明が入手困難な状態です
印鑑証明が入手できない場合、本人が刑務所入所中だということを刑務所長に証明(サイン証明?)してもらえば印鑑証明のかわりになると聞いたことがありますがどうなんでしょうか?
登記申請書を作成するにあたって司法書士による無料法律相談を利用しました。その時の司法書士に上記のサイン証明の事を聞きましたが、それが実際に印鑑証明の代わりとして有効かどうかはその司法書士さんもはっきり分からない風でした。もしそれが有効であれば証明をとるのに入所の刑務所まで行かなければならないのか、郵送でもできるのかといったところを知りたいです。
pm773さん ( 大阪府 / 女性 / 39歳 )
回答:1件
鮫川 誠司
司法書士
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遺産分割協議書への印鑑証明書の添付の要否
相続人中に受刑者がある場合の遺産分割協議書への印鑑証明書の添付について,下記の通り回答申し上げます。
まず,遺産分割協議は,共同相続人の全員によってしなければなりません。ご質問の内容から察するに,そもそも,受刑者であるご兄弟の合意が得られていないのではないかと,懸念されます。
まずは,受刑者であるご兄弟についても,郵便又は面会によって,遺産分割協議の内容を説明して,同意を得て頂くようお願いします(本人に無断で印鑑を冒用・署名すれば,有印私文書偽造罪が成立します)。
(1) 印鑑がない場合-A
「刑務所在監者が登記義務者として印鑑証明書を提出できない場合には、本人の拇印である旨を刑務所長又は刑務支所長が奥書証明した委任状を添付すべきである。」(昭和39年2月27日民事甲第423号)とする先例が参考になります。
遺産分割協議書にご兄弟が署名の上,拇印を押し,これについて上記の奥書証明を得て印鑑証明書に代えるという方法が考えられます(事前に,管轄法務局に文書でご相談下さい)。
(2) 印鑑がない場合-B
「共同相続人間において,遺産分割協議が成立し,署名入りの協議書も作成されたが,共同相続人の一人が協議書への押印を拒否している場合には,協議書に当該共同相続人を被告とする所有権確認訴訟の勝訴判決を添付して,相続登記を申請できる」とされています(平成4年11月4日民甲第6284号)。
遺産分割協議書にご兄弟に署名して頂き,事前に説明の上で,上記の所有権確認訴訟を提起します。一種の馴合い訴訟の勝訴判決を得て,印鑑証明書に代えることができます。
(3) 印鑑が領置されている場合
「遺産分割協議書に一部の者の印鑑証明書を添付することができないときは,証書真否確認の訴えを提起し,その勝訴判決をもってその者の印鑑証明書に変えることができる」とされています(昭和55年11月20日民甲第6726号)。
遺産分割協議書にご兄弟に署名・押印して頂き,事前に説明の上で,特殊な確認訴訟である証書真否確認の訴え(民事訴訟法134条)を提起します。その勝訴判決を得て,印鑑証明書に代えることができます。
以上,pm773さまのお役に立ちましたら,幸いです。
裁判手続に関してはぜひ私たちにご相談下さい
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評価・お礼
pm773さん
丁寧なご回答ありがとうございました
遺産分割協議の内容については本人の同意を得ています。本人に不動産の維持管理能力がなく、本人の希望もあって不動産は私が単独で登記することになりました。本人には借金しかありませんので彼を登記人に含めてしまうと不動産を差し押さえられる可能性があります。兄弟が出所後の生活資金を確保するためにもその不動産の売却を考えています。
ご回答の3つのうち(1)の方法が一番現実的と思われますので管轄の法務局に問い合わせてみます。
その際、文書でとありますが電話では相談できないものでしょうか?
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