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小松 和弘
経営コンサルタント

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アルバイトと個人事業主では、納税額に違いがあります

2016/03/09 21:48

デューク西郷さん、こんにちは。個人事業の開業に関する相談ですね。

4つのご相談事項の関連性などを踏まえ、以下の順番で回答致します。
1. 会社員でも個人事業主になれるか(法律違反ではないか?)
2. 個人事業主になった場合今の会社にばれない為にどうすればいいか?
3. 個人事業主のメリット
4. バイト程度なら個人事業主にならないほうがいいのか?

本回答では便宜的にデューク西郷さんの会社員としてのお仕事を”本業”、個人事業を”副業”と表現しております。また、本業を続けつつ副業を個人事業主の開業届を出し拡大するご意向であるとの前提で回答しています。

1.会社員でも個人事業主になれるか(法律違反ではないか?)
公務員は、法律(国家公務員法、地方公務員法など)により副業を規制されていますが、民間企業の会社員の副業を規制する法律はありません。よって、会社員が副業しても違法とはなりません 
但し、お勤め会社の就業規則やご自身の雇用契約にどのような条件が付されているのかをご確認下さい。業務への影響等を懸念して、副業を禁止している場合や許可制を取っている場合があります。仮に、雇用契約上、会社が副業禁止等をしている場合、それを破ると処分される可能性がありますので十分注意が必要です。
しかし法律上では、会社は社員を業務時間外まで拘束できないため就業規則の効力が絶対でなく、副業を理由とした解雇が無効となる判決も出ています。最近は、業務減少や自己啓発の一環で副業を容認する会社もあるようです。上司等にご相談し了解を取ったうえで進めることも有効です。

2.個人事業主になった場合、今の会社にばれない為にどうすればいいか?
 まず、発覚を100%回避することは困難です。例えば、副業している姿を同じ会社の人に発見されたり、副業の関係者と会社の人が知人同士であったりする場合など、様々な発覚ルートがあります。
会社に副業が発覚する主なルートとして、区市町村から会社への住民税決定通知があります。住民税は毎年1月~12月の全ての所得合計により決定され、会社員の住民税は会社が従業員に変わり納めるため(特別徴収)、住民税が会社に通知(請求)されます。その際に、副業による所得増加分が住民税に加算されるため、会社側が気付く可能性があります。
この住民税決定通知による発覚を回避する2つの方法を以下に提示します。完璧な方法とは言えませんので、参考情報としてください。

[回避方法]
一.副業による所得を年間20万円未満に抑える
副業の所得が20万円未満の場合には確定申告不要です(所得税法121条 ※1 )。副業による所得を年間20万円未満に抑えることで、発覚の回避は可能です。
二.確定申告時の住民税の徴収方法を普通徴収に
副業の所得が年間20万円を超える場合、確定申告が必要となりますが、確定申告書を記入する際の住民税の納付方法を「自分で納付」とすることで、副業の住民税の通知(請求)を自宅に届くようにできます。ただし、税務署や区市町村のミスにより、会社に届くケースも一部であり、完全とは言えないようです。
 
3.個人事業主のメリット
 個人事業にせよ、アルバイトにせよ、納税義務が発生しますが、個人事業の収入は「事業収入」として扱い、アルバイトの収入は「給与収入」となります。両者では、確定申告の際の経費計上の方法等が異なります。経費が変われば、課税所得金額が変わり、結果として納税額が変わります。ここがポイントです。
アルバイトの経費は給与支給額の大小に応じて自動的に計算さます。一方、個人事業主では、事業を営むために実際に掛った費用が経費計上でき、青色申告した場合は、最大65万円まで経費計上できます。このため、一般的には、個人事業主の方が住民税の負担額が少なくなる傾向にあり、これを節税効果といいます。
個人事業主の開業届を出すメリットの最大のものが、青色申告(※2)が可能となることです。詳細は国税庁のホームページ等でご確認ください。
一.青色申告特別控除を受けられる
青色申告では、帳簿を複式簿記で管理していれば最高65万円、簡易簿記で管理していれば最高10万円を課税所得から控除できます。これを青色申告特別控除と言いますが、最近は、自動で複式簿記の帳簿が作成できる青色申告ソフトもあります。
二.純損失繰越控除ができる
個人事業を開始した初年度や多額の設備投資をおこなった年度などでは、売上高よりもかかった経費の方が多くなり赤字になることがあります。青色申告をしている個人事業主であれば、その年に生じた損失を翌年以後3年間繰り越して翌年以後に発生した所得額(黒字の金額)と相殺することができ、結果、納税額を抑えることができます。
三.経費計上の幅が広がる家族への給与を必要経費にできる
個人事業主であれば、家族(従業員扱い)に給与を支払いうことで、それを経費にすることが可能(青色申告専従者控除)ですし、賃貸であれ持ち家であれ、オフィスとして利用しておれば、家賃や光熱費などの一部を経費に計上することができます。そうすることで納税額を小さく抑えることができます。
四.貸倒引当金の設定
年末に残っている売掛金や貸付金などの売掛債権・金銭債権に対して、5.5%以下の金額を貸倒引当金繰入として必要経費に計上することができる制度です 。

4.バイト程度なら個人事業主にならないほうがいいのか?
 個人事業主になって青色申告でメリットを享受できるか否かが決め手となるでしょう。
開業届提出後は廃業届を出すまでは原則として所得があると認識されるため、年間所得が20万円未満だとしても毎年確定申告が必要となります。
また開業届を出す大きなメリットは青色申告が可能となることですが、それには複式簿記での記帳が必要になり、損益計算書と貸借対照表の両方を作成し、決算書として毎年3月15日までに提出しなければいけません。必要帳簿類も増えるため、手間と労力を含め管理コストがかかります。
開業届を出さずに副業の所得が20万円未満であれば、確定申告の必要がありません。20万円未満であれば青色申告による節税金額も少なく、申告の手間等も含めて考えると、開業届を出すメリットは少ないと思われます。
開業届を出す主なメリットは前述3.の通り、65万円の青色申告特別控除など有利な取り扱いを受けることができることです。年間65万円を超える所得が安定して得られる場合や今後事業の拡大が見込まれる場合は、開業届を出すメリットは大きいでしょう。
このため、想定する年間所得がどの程度なのか、また、申告用の会計ソフト購入等も含めて青色申告ができる体制が整えられるがポイントです。ちなみに、個人事業主になる一つの所得目安は、年間50万円とお考え下さい。
   
5.まとめ
 個人事業主になることをご検討されておられますが、所得の大きさにもよりますが、将来的に、継続的な所得を得ることをお考えであれば、個人事業主になって青色申告のメリットを享受できる可能性があります。是非、ご検討下さい。
デューク西郷さんの今後のご発展をお祈り申し上げます。

【参考情報】
※1 所得税法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S40/S40HO033.html

※2 国税庁 青色申告制度
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2070.htm

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住民税

回答専門家

小松 和弘
小松 和弘
( 東京都 / 経営コンサルタント )
ホットネット株式会社 代表取締役
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この回答の相談

個人事業主について

法人・ビジネス 独立開業 2009/11/02 21:12

自分は会社員ですが休日や仕事が無いときに知り合いからお小遣い程度のバイトをしてますが、このバイトを少し大きくするので個人事業主になろうかと思いました。そこでいくつか質問があります。
1.会社員でも個人… [続きを読む]

デューク西郷さん (千葉県/33歳/男性)

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