対象:ペットの医療・健康
犬の結石除去手術
非常に残念な結果になってしまいました。 心よりお悔やみ申し上げます。
まず確認ですが、結石が詰まっていたのは、膀胱と尿道ですね。 尿管というのは、腎臓から膀胱までの管で、ここに石が詰まっている場合と、尿道に結石が詰まっている場合では、手術の難易度が全く変わってきます。 尿管はとても柔らかい、半透明の管で、ここに詰まった結石を摘出した場合は、拡大鏡を着けて縫合する、いわゆる難易度の高いマイクロ手術の必要があって、不慣れな先生の場合は尿管狭窄や、尿管閉塞を起こしてしまう可能性が出てくるからです。
開腹手術をする遅くとも3時間前には、前もって抗生剤の投与をします。
膀胱を開く場合には、膀胱を体外に引き出したあと、前もって尿道カテーテルを挿入して、尿を抜いて膀胱洗浄し、出来るだけ膀胱内に液体がないようにしてから膀胱切開をします。 前処置でも、完全に液体を抜ききることは不可能ですから、切開時に液体が腹腔内に漏出しないように、タオルや、ガーゼで膀胱を覆ってしまいます。 それでも膀胱外壁には漏れ出た液体の中にいる細菌が付着しますので、腹腔内に戻す直前には、イソジン液などの消毒剤でとくふき取ります。 以前はお腹を閉じる前に腹腔洗浄をしていましたが、最近では広域の抗生剤が発売されてきましたので、必ずしも腹腔洗浄をするということはなくなりました。
補足
今回の場合には、ひょっとすると、耐性ブドウ球菌か緑膿菌が感染していたのかも知れません。 大抵の膀胱結石の手術の場合に、前もって尿培養による感染細菌お確認と感染細菌の抗生剤感受性を確認することは少ないのが現状です。 それは確認までに日数を要すること、その間に腎機能の低下が起こってしまうと手術が出来なくなってしまうことが、耐性ブドウ球菌か緑膿菌が感染が稀なことが大きな理由です。
今回の不幸なケースが、どのようなプロセスで進んでいったのか、確かなことはわかりませんが、非常に稀なケースであった可能性もありますし、医療事故の可能性もあります。
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