対象:住宅設計・構造
野平 史彦
建築家
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あの工務店ですね?
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千葉県内で住宅の完成見学会をやって人を集められる工務店というのは、そう多くはありません。内容からして、きっと以前ドラマのモデルになったという例の工務店なのだろうと思います。
その工務店の完成見学会には以前,私のお客さんと共に参加させてもらったことがあります。
この工務店は大工の学校をやっているくらいですから、大工の腕は確かなものがあります。無垢材をふんだんに使い、屋根には90角@910の垂木の上に30mmの杉板を張り、そのまま天井表しにしていました。
床も無垢のチークのフローリング(何故、チークなのか?安く仕入れることができるのだと思いますが)にオイル拭きでしたが、押し入れの中は合板など使わずに杉板張りにしていたり、玄関収納の杉板の扉や、今時こんな細工ができる職人さんがいるのか?と驚くばかりの極めて古典的な和室が目を引きました。内装の塗り壁も漆喰塗りの下処理段階の塗りのまま味のある壁を作っていました。そうした仕上げについてはなかなか参考になるものがありました。
しかし、工務店の設計らしく、プランニングや空間のつくり方には特段見るべきものはありませんでした。
この工務店は以前、「いい家が欲しい」で有名になったソーラーサーキットを採用していたのですが、その工法の問題点に気付いたのでしょう。今では、その工法を変更した外張り断熱となっていますが、その仕様を詳しく聞くと、摩訶不思議な外断熱でした。伝統工法の良さにソーラーサーキットを採用し、その問題点を解決しようという試みが、そもそも高気密・高断熱理論をきちんと理解している訳ではない様ですので、摩訶不思議な、としか形容のし様がない中途半端な仕様になっていました。(しかし、その問題点に気付くお客さんはまずいないのですが、、)
(追記します)
補足
基礎をパフォームガード(防蟻剤入り発泡プラスチック断熱材)で外断熱しているところなど、なかなかのものなのですが、ソーラーサーキットの名残なのか、床下換気口が付いていて、夏冬に開閉する様になっています。
しかし、夏に開けてインナーサーキットに循環させるのか、と思えば、そうではなく、夏は断熱を無視してただ床下を換気するだけになっている様です。
屋根も外張り断熱になっているので、屋根裏もさほど暑くはなっていませんが、これだけ自然素材を多用していながら、外断熱に発泡プラスチック系の、即ち石油化学系断熱材を使うというというのも、ソーラーサーキットの名残で、あそこまで自然素材にこだわっているなら多少断熱性能が落ちても、フォレストボード(杉皮から作った自然系断熱ボード)を使うとか、そのくらいの小気味良さを見せて欲しかった。
しかし、いずれにしろ幸いだったのは少なくとも「内部結露」を起こしそうな仕様にはなっていない、ということであり、著名な建築家の作品も数多く手掛けている、この地域では最も優秀な工務店のひとつであることには変わりありません。
ちょっと、勝手にあの工務店だろう、と決めつけて一設計者の独り言を書いてしまいましたが、こんな見方をしている人間もいる、ということだけ頭に置いて見学会に望んでみて頂ければ幸いです。
違う工務店でしたら参考にならないので、ご容赦下さい。
評価・お礼
月見草 さん
とても詳しいご説明、ありがとうございます。
野平さまが思っていらっしゃる工務店です。
たまたま近所で家を建てている所が3ヶ所あり、その1つがこの工務店、その他はハウスメーカーでした。
工務店の着工が一番早かったのですが、パネルを組み立てていくやり方はさすがに早く、1棟はもう外構工事が終わりそうです。
今回、解体からコツコツと少しずつ進んでいく様を見ることができ、猛暑の中、左官屋さんが塗っている姿を目にすると、通りすがりの者でも愛着がわき、見に行って来ます。
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この回答の相談
はじめまして。
近々、工務店の見学会に参加します。
木造で外断熱、床は無垢(1階チーク、2階ナラ)、丸太柱は桧と栗、内・外壁は塗り壁だそうです。
見学は初めてではありませんが、部屋数や広さ… [続きを読む]
月見草さん (千葉県/48歳/女性)
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