対象:事業再生と承継・M&A
後藤 義弘
社会保険労務士
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ご質問ありがとうございます
*''■ 回答''
''事案にもよると思いますが、ご質問のように中小企業の「買収」というテーマで考えた場合、個人的には、現時点で中小企業が同スキームを活用するメリットは限定的と考えます。''
**''★ 解説''
ある会社を買収したい会社があったとしましょう。 この会社をA社とし、ターゲット会社をX社とします。
通常ならA社が直接X社にアプローチし、何らかのM&Aスキームを使いX社を買収しますが、ご質問の「三角合併」は、そのA社の子会社 (なければ新設する子会社) を使って間接的にX社を買収する、つまり子会社に持たせた親会社 (A社) の「株式」を対価にする買収スキームです。
その特徴は主に
(1) 買収にキャッシュが不要((実際は、子会社が親会社の株式を取得する際の資金調達の問題が残ります。))
(2) 株主総会決議が不要
(3) 買収先の会社の株主からの株式買取請求に応じる必要がない
という具合に、通常の「合併」よりもさらに機動的な買収が可能となるという点です。((米シティグループによる日興コーディアルグループの買収は、この「三角合併」を応用させた「三角株式交換」という買収スキームを活用しています。))
通常大きな会社であれば、株主総会を随時開催することは簡単ではありません。
そこで、組織再編の機動性・迅速性を高めるために規制が緩和され、こうした「三角合併」による組織再編が認められることになりました。((平成19年5月より))
そういう意味においては、ご質問の「三角合併」という買収スキームの射程は、どちらかと言えば上のメリットを享受しうるある程度の規模の株式公開会社、ということになるかもしれません。
この「三角合併」を中小企業の「買収」スキームとして考えた場合、子会社を設立したり、株式を持たせるための資金を手当てしたり、わざわざコストをかけ子会社を迂回させる買収に積極的なメリットを見いだせる事案というのは、限られてくるものと思われます。
補足
では、中小企業には全く不向きなM&Aスキームなのでしょうか?
例えば
(1) グループ会社の統合
(2) グループ会社内での資金調達
など、ここでテーマとなっている「買収」(M&A)というよりは、むしろ別の経営目的実現のためのツールとして活用することは充分考えられると思います。
実際、この「三角合併」は新しいスキームであり、同スキームを使った企業買収の実例がまだ少なく、今後の事例の蓄積に注目したいところです。
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この回答の相談
三角合併という買収方法がありますが、これは中小企業のM&Aに使えるものなのでしょうか。 使えるとしたらどんなときに有効なのでしょうか。
manumanuさん (東京都/36歳/男性)
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