対象:刑事事件・犯罪
回答数: 1件
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大塚 隆治
弁護士
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名義の冒用
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横領罪が成立するためには、他人から占有権限を与えられ、その物を勝手に着服することが必要です。お尋ねの件で、現金の所有者は誰になるのでしょうか。例えば、会社と講習先との間で講師を派遣し、その講師料は会社に払うという契約があれば、現金の所有者は会社であるということになります。お尋ねの内容では、形式は別にして、A氏と講習先との間で、A氏が講習を提供し、その対価を講習先がA氏に支払うという契約が成立しているのではないかと思います。とすると、現金の所有者はA氏ということになり、これでは横領罪は成立しません。契約書に法人名が記載されているという点をとらえて、A氏が勝手に法人の名義を使用したということになれば、私文書偽造罪が成立する余地はありますが、個人契約と考えられるなら、その契約の名義人はA氏ということになり、私文書偽造罪の成立も難しくなります。背任罪についても、「他人のためにその事務を処理する者」が任務違背行為をして、財産上の損害を加えたことが要件となりますが、A氏が講習を行うことが任務違背行為かどうかは、会社とA氏との間でどのような任務を与え、与えられた関係になっていたかによります。これについても、お尋ねの内容ですと、会社は、A氏が講習を行うこと自体については了承していたと思われますので、背任罪の成立も難しいかと思います。
評価・お礼
Qeema さん
大変に丁寧に回答を頂きましてありがとうございました。
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A氏は社外でのある講習を数年間行ない、A氏は無料で行ったと言い、社内でもそのように認識されていました。ところが実際には講習先から講師料が支払われ、約10万円と約20万円… [続きを読む]
Qeemaさん (東京都/52歳/男性)
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