対象:民事家事・生活トラブル
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内田 清隆
弁護士
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交通事故と休業補償
難しい問題です。
現在の裁判所の考え方は,事故がなければ得ることのできた収入と,実際に得た収入の差額を休業補償として支払うべきであるというものです(差額説といいいます。)
そうすると通院治療を続けながら努力で収入の減少を防止したときには,実際得た収入と事故がなければ得ることのできた収入には差がないこととなり,休業補償としての損害賠償は認められないこととなります。
この差額説という考え方は,今回のご相談のように常識的に考えて結論が不当となる場合があります。そのため強い批判がされていますが,現在の裁判所の多くはこの考え方を採用しています。そのため裁判をしても休業補償が認められる可能性は少ないです。 もっとも,実際にその分努力をしたことを金銭的に全く無視されるのは不当であるため,慰謝料を増額してもらうなど,一定の配慮を受けることは可能ではないかと個人的には思います。
ただし,交渉と裁判は別ですので,裁判で認められなそうだからといってあきらめる必要はありません。常識的におかしいものはおかしいと主張しがんばって交渉すべきです。
なお,裁判となれば被害者が損害を立証する責任がありますので給与明細などは提出する必要があります。交渉においても提出した方が有利にはなります。プライバシーを重視するか,現実の金員を重視するかといった難しい問題です。
交通事故においては,被害者側が常に非常な不利益を被り,裁判所も十分に救済してくれないのが現状ですが,起こったことは仕方がありませんので,もらうべきものはもらい,前向きにがんばってください。
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福来太郎さん (福島県/62歳/男性)
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